中国 正義の行き場を失った社会

正義なき中国 元公安局副局長ですらネット告発に出た

2026/01/30 更新: 2026/01/30

「元公安局副局長ですら、ネットで告発するしかない時代になった。では、我々庶民は、いったいどこに正義を求めればいいのか」

そんな声が、中国のネット上で静かに広がっている。
怒りというよりも、人々の胸に広がっているのは不安と無力感だ。公式ルートに訴えても守られない。声を上げれば標的になるかもしれない。かといって、何もしていなくても被害に遭う可能性はある。逃げ場のない現実が、人々を深い諦めへと押し込めている。

もちろん中国には警察も役所も裁判所も存在する。だが、そこに正義があると信じる人は少ない。

こうした光景は、もはや珍しいものではない。
近年の中国では、警察官や裁判官、弁護士、官僚など、体制の内部にいる、あるいはいた人々が、自らの身分証を手に、顔を出したまま実名で告発する映像をネットに公開し、世論の注目を求める例が相次いでいる。

最近も、雲南省昭通市鎮雄県で、元公安局副局長が現職幹部を実名で告発する出来事があった。
告発に踏み切ったのは、同県公安局の元副局長、汪剣武である。

汪は、同県信訪局局長の李衛国について、昇進の過程で経歴を含む公式人事記録に不正行為があったと主張した。身分証を手にした動画をネット上で公開し、告発内容はすでに関連部門にも通報済みだという。

一方、李はこうした指摘を否定し、調査が行われているとしている。この件は中国のメディアでも報じられ、注目を集めている。

汪は過去に汚職事件で有罪判決を受け、刑期は再審で4年に減刑された。本人は一貫して無罪を主張し、服役後も申立てを続けている。

その元公安幹部が、今度は別の幹部の不正を訴えるため、制度の中ではなくネットを選んだ。この事実が突きつける問いは重い。

警察や司法に関わってきた人間ですら守られないのなら、一般の市民はどうすればいいのか。

今回の告発は、個別の是非を超え、中国社会で正義の行き場が失われている現実を改めて浮き彫りにしている。

 



警察も裁判官も「ネット告発」に頼る時代=中国

まさに「奇観」――。中国は警察も裁判官も「ネット告発」に頼る時代。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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