中国大使館職員を装い留学生から現金詐取 大阪の21歳中国人留学生を逮捕

2025/08/21 更新: 2025/08/21

大阪市在住の中国人留学生の男(21)が、中国警察や中国大使館職員を装い、岡山市に住む中国人留学生の女性(21)から現金計518万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いで8月20日に岡山県警に逮捕された。

男は複数回にわたり、被害女性に電話をかけ、「あなたは中国でのマネーロンダリング事件に関与している」「容疑者として名前が浮上している」「日本に留まり捜査に協力するなら保証金を払う必要がある。金額は25万人民元(約500万円)で、捜査終了後に返還する」と虚偽の情報を伝えた。

男は中国大使館職員を装い、岡山市北区で女性から現金400万円を受け取り、さらに2回にわたり自身の銀行口座に計118万円を振り込ませた疑いが持たれている。

2025年4月、女性から被害届が出され、岡山県警が捜査を進めた結果、男の関与を確認し逮捕に至った。男は調べに対し、「中国大使館職員を装って現金を受け取ったのは事実だが、指示役を本物の検事だと信じ、指示に従った」と供述し、容疑を一部否認している。

日本での中国人留学生を狙った詐欺の多発

中国人留学生を狙った「偽警察」「大使館職員」を名乗る詐欺は、2016年ごろから日本で確認され、2023年以降に急増。特に東京、京都、愛知など大都市で被害が相次いでおり、岡山での今回の事件は詐欺グループが地方都市にまで標的を広げつつあることを示している。

2024年9月 京都での被害

2024年7月末、京都府外を旅行中の23歳の中国人留学生(女性)の携帯電話に、中国警察を名乗る男から「あなたは中国での詐欺事件に関与している」との連絡が入った。その後、「あなたの口座を調査するため、口座を空にする必要がある」と指示され、女性は8月に指定口座に7回にわたり計2165万円を振り込んだ。

2023年8月 東京での「サイバー誘拐」

2023年8月、東京都内で6人の中国人留学生(10代~20代の女性)が詐欺グループの被害に遭い、総額約1850万円をだまし取られた。犯人らは「中国公安局」や「上海警察」を名乗り、被害者に「犯罪に関与している」と告げ、家族に身代金を支払わせる「偽装誘拐」を演出。被害者自身に監禁されたような写真や映像を撮影させ、家族に送るよう仕向ける「サイバー誘拐」の手口が使われた。

詐欺の背景

これらの詐欺は、中国人留学生の言語や文化の壁、及び中国の公的機関への信頼や畏怖心理を利用したものだ。特に、偽装された電話番号(「+」で始まる国際番号)や通信アプリ(WeChatなど)を悪用し、被害者を信じ込ませる手口が一般的だ。詐欺グループは、留学生やその家族の経済力を狙い、高額な「保証金」や「身代金」を要求する。

警視庁は「中国公安局や大使館を名乗る電話は詐欺の可能性が高い」と警告している。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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