移民にあえぐカナダ国民 政府が移民受け入れを縮小 永住者・留学生とも削減 

2026/01/10 更新: 2026/01/10

カナダ政府は、昨年からの移民受け入れ抑制路線を踏襲し、2026年も移民枠を一段と縮小する構えだ。業界関係者からは、人口が減少局面に入る中で移民を減らせば、将来の経済成長に必要な労働力が不足するとの懸念が強まっている。

政府は今年、永住権を付与する新規移民を38万人受け入れる計画で、2025年の39万5千人から約1万5千人減らす。2024年の過去最多48万3640人と比べると大幅な減少となり、政府の移民政策が全面的な引き締めに転じたことがうかがえる。

カナダでは移民急増により、労働力の確保に寄与した住宅、医療、インフラにかつてない負担がかかっている。住宅価格の高騰、医療機関の受診の困難化、賃貸住宅をめぐる競争の激化により、多くの国民が生活の質の低下を実感し、不満が高まりつつある。

エンバイロニクス研究所が実施した最新の世論調査によると、連邦政府が受け入れている移民の数が「多すぎる」と考えるカナダ国民は56%に上っている。保守党支持層に限ると、この割合は82%に達し、2020年の41%から大きく上昇しており、同研究所が48年間にわたり実施してきた調査の中で過去最高となっていた。 

こうした「移民が多すぎる」という国民の認識が高まる一方で、産業界からは今回の政府の移民受け入れ抑制路線に対して不安の声が上がっている。カナダ統計局が昨年12月に公表したデータによると、同国の人口は第3四半期に0.2%のマイナス成長となった。

移民専門の法律事務所Jain Immigration Lawの創設者ラビ・ジャイン氏は「カナダはより多くの人口を必要としている。現在の労働力の増加は、実質的にすべて移民によるものだ」と指摘し、人口が縮小する局面で移民を減らすのは賢明ではないと考えている。

臨時滞在者の大幅削減

カナダ政府は永住者だけでなく、留学生や外国人労働者などの臨時滞在者についても削減を進め、2027年末までに総人口に占める割合を5%未満に引き下げる方針だ。

これに伴い、2026年の主なビザ発給数は大幅に減らされる。

学生ビザは15万5千件とし、前年計画の43万7千件から半分以下に縮小する。
外国人労働者は23万人の受け入れを予定し、前年比で13万5千人以上減少する。

留学生についてジャイン氏は、多くがすでに就労し地域社会に溶け込んでいるにもかかわらず、今後は帰国を迫られる可能性があると指摘する。

「彼らを永住者へ円滑に移行させることができれば、国の長期的な発展にとってより有益だ」と語った。

カナダの移民政策において産業界と国民の間で分断が見られる。あるカナダの専門家は「反移民感情の高まりというよりも、政府への不信と計画性の欠如への反発が背景にある」と指摘している。

周行
清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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