中共4中全会直前 軍トップの「五つの発言」が権力闘争を激化か

2025/10/08 更新: 2025/10/08

中国共産党の第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)を目前に、中国共産党(中共)内部の権力闘争が史上稀にみる緊迫感を増している。張又侠・軍副主席が明かした「五つの発言」は、胡錦濤や温家宝ら元指導部を震撼させ、習近平退陣の可能性から内戦リスクまで、政局の行方に注目が集まっている。

最新の内部情報によれば、中共党首習近平は「一対一」の形式で習派中央委員全員に直接メッセージを送り、「党内分裂勢力に抵抗し、習核心を守るように」と指示したという。

一方、前党首胡錦濤と元首相温家宝両氏、そして軍委員会副主席張又侠は秘密会議を開き、その場で張又侠が軍の限界点を示す五つの重要発言を行い、「緊急事態に備えるための対応策の準備」を求めたと伝えられている。

習近平が中央委員を動員——「党内分裂」が4中全会の導火線に

10月6日、時評家「暁説家」はYouTube番組で複数の情報源をもとに次のように語った。

習近平はすでに中央委員に向けて「総動員令」を発している。この指示は習近平派のメンバーが一対一で口頭伝達し、習近平派中央委員全員に届いたとされる。核心部分は「党内に分裂を企てる勢力が存在する」という警告であり、中央委員には4中全会で「二つの確立(習近平の中央と全党の核心地位の確立)」を堅持し、「二つの擁護(習近平の中央と全党の核心地位の擁護)」を徹底し、「分裂勢力」と戦うよう求めている。

この情報は、外部で以前から議論されてきた「胡錦濤や張又侠が党内手続きに則り習近平を退陣させることはほぼ不可能である」という見方を裏付けるものでもある。現在の中央委員の大半は習近平の側近であり、彼らに「習近平罷免」の公開投票を行わせることは実際には極めて困難である。

ただし、投票前に習近平に関する重大な問題が中央委員に直接明らかとなり、その評判が完全に失墜すれば、委員たちも習近平を支持し続けることは難しくなる可能性がある。

これまでの分析では、長老勢力が切り札として「前首相李克強死亡事件」を握っているとされる。習近平が元老勢力との合意に従い、4中全会で自発的に辞任しない場合、彼らは李克強の死について正式な調査を始める可能性が高い。そして「李克強暗殺の真相」が明らかになれば、習近平は党全体から非難され、政治生命は完全に終焉すると考えられている。

しかし、この「李克強事件の調査」は即時効果を持つ手段ではなく、あくまで長期的な威嚇材料に過ぎない。調査には時間がかかり、緊急の権力移行問題を即座に解決できるものではないためである。さらに、4中全会後も習近平が権力を維持していれば、調査自体が無意味となり、圧力の下で最終的結論は「李克強は自然死」とされることは明白である。

要するに、通常の投票手続きだけでは習近平を罷免することはできず、李克強事件を切り札としても緊急の事態に対応できない。したがって、習近平が自発的に辞任しない場合、張又侠らに残された選択肢は「軍事的圧力による退陣要求」しかない。

張又侠の「五つの発言」——軍の一線が崩れれば局勢は制御不能に

同じく10月6日、時評家「山東河夫」はYouTube番組で次の情報を明らかにした。張又侠と劉源(中共軍の上将。父は元国家主席である劉少奇)は最近、胡錦濤と温家宝を訪問し、さらに元副首相汪洋と胡春華も招いて、習近平の去就や、予測される極端な事態への対応について協議したという。

関係者によれば、会合は北京市西山にある厳重警備の邸宅で行われ、2時間以上続いた。その中で、張又侠は党内情勢の最も敏感な核心に触れた五つの重要発言を行った。

第一の発言

「もし4中全会で習近平が完全に退陣しない場合、私がどのような結果に直面するかは、古参指導者の皆さんも理解できるはずだ。確かに軍の忠誠は党の基礎であるが、忠誠は盲従ではない。4中全会が規則通りに進められなければ、軍内部の不満は高まり、私の責任は極めて重くなる。局勢が制御不能になれば、その結果は言うまでもない」

第二の発言

「もし4中全会で習近平が退陣しなければ、汪洋・胡春華両氏は重大な危険にさらされる。これは誇張ではなく、すでに軍内部にはその兆候が見えている」

さらに汪洋・胡春華両氏に向けて——「あなた方は党の中核である。だが、現在の情勢は自らも理解しているはずだ。誰かがあなた方の一挙一動を監視している。4中全会の結果が期待通りでなければ、立場は極めて危うくなる」

第三の発言

「党内闘争は水面下から水面上へ拡大し、全面的な武装衝突に発展する可能性がある。」

張は胡錦濤に対して——「これまで党内闘争は常に暗流として存在してきた。しかし今は事情が異なる。抑えきれない矛盾が表面化しつつあり、処理を誤れば公然対立、さらには武装衝突へと進みかねない」と述べた。

この場で劉源も発言した——「錦濤同志、家宝同志、あなた方は過去幾度も嵐を乗り越えてきた。党内闘争の苛烈さは我々以上に理解しているはずだ。だが今は、それ以上に複雑な状況である。事前に備えなければ、結果は想像を超えるものとなろう」

彼が言及した「当時の状況」とは、2012年に胡錦濤と温家宝が薄熙来・周永康らのクーデター勢力と対峙した時期を指す。当時、胡錦濤は党首、温家宝は首相という正式地位を有し、「反乱鎮圧」の正当性を持っていた。

しかし今回は立場が逆転している。胡錦濤は軍と連携し、現職の党・政府・軍最高指導者である習近平とその大派閥に対抗しようとしており、名分上では劣勢に立たされている。そのため4中全会では、胡錦濤と張又侠が党政軍の形式的指導権を奪い、この行動に“合法性”を付与する必要がある。

そして劉源は胡錦濤に対し、「必要な時には強硬な電撃措置を取り、軍を動かしてでも習近平を退陣させるべきだ」と暗に示唆したのである。

第四の発言

張又俠の四つ目の発言では、習近平が自ら進んで権力を手放さない可能性について彼が語った。

張又俠は「古参指導者は緊急対応策を準備すべきだ。そのような事態に陥った場合、私自身も状況を抑えきれなくなるかもしれない。軍に何十年も従事してきた経験から、軍の限界がどこにあるかは理解している。しかし、もし情勢が制御不能になれば、私にも打つ手はなくなる。だから、皆で共に考え、対策を用意しなければならない」と警鐘を鳴らした。

ここで彼が言及する「状況」とは、習近平がその時点で自ら進んで権力を譲らない場合を指している。そのような行動は軍の忍耐の限界を超え、軍内部で激しい反発を生み出し、場合によっては軍が公然と反旗を翻し、事態が収拾不能となる恐れがある。張又俠自身もその時は制御不能に陥る可能性があるという。

第五の発言

さらに五つ目の発言として、張又俠は「ひとたび何かを起こせば、それを止めたり変えたりすることはできない。それはまるで山の上から石が転げ落ちるようなもので、もう止められなくなる。我々はできる限り導こうとするが、その結果がどうなるかは誰にも予測できない」と述べている。

この一連の暴露の中核は至って単純だ。それは「習近平が権力移譲を拒否した場合、軍の統制が崩れ、中国で内戦発生の可能性があり、結果は予測不能」だという点である。また、仮に習近平が再び権力を握ることになれば、張又俠や汪洋(ワン・ヤン)らは命も保証されない運命に直面する可能性がある。

この暴露は現時点で張又俠ら反習派と習近平派との緊張関係を如実に示すものであり、反習派が直面する苦境も浮き彫りにしている。

一方、胡錦濤は党内抗争を公にすることなく、習近平が自主的に辞任することで穏便に権力移譲が進むことを望んでいる。すべての厳しい内部闘争は「密室政治」として水面下に隠され、形式的な合法手続きによって政権交代が完了するという算段である。

だが張又俠は、この計画の最大の弱点は習近平が約束を破る可能性にあると指摘する。もし第4回中央委員会総会(4中全会)で習近平が合意を守らず、辞任しなかった場合、胡錦濤らはどのような予備策を準備しているのか。最終的には、軍を動員して習近平を会場から排除するしか手は残っていないのではないか――そういった厳しい問いが持ち上がっている。

この暴露の真偽は定かではないが、外部に伝わる核心的な懸念は「習近平が辞任しない事態に備え、胡錦濤が軍部を安心させるだけの準備策を講じているか」にある。

歴史的な陳橋兵変が例示、「断行こそが張又俠の最後の選択肢である」

実際、軍人という立場からすれば、歴史の分岐点において政治家に全面的に依存することはできず、国家の行方を最優先し、「決断すべき時に断固決断する」覚悟が求められる。好機を逃し、国家を混乱や内戦に導く事態は絶対に避けなければならない。

だからこそ、張又俠や劉源は最終的に自ら主導権を握る覚悟が必要であり、胡錦濤ら「古参指導者」が構想する予備策に全面的に依存するべきではない。もし胡錦濤が「党内団結」という幻想に執着すれば、逆に習近平に主導権を握られてしまい、危機のときに何も手が打てなくなる可能性さえある。

諺にもあるように「形勢は人に勝る」。自身の身の安全が最大の問題となったとき、張又俠や劉源は「党内団結」といった建前にこだわらなくなり、「陳橋兵変」のような歴史的な前例を参照することが選択肢となる。

960年、西暦で言うと北漢・契丹(キタイ)連合軍が南下し、後周(こうしゅう)を攻撃しようとしていた。当時の皇帝はわずか7歳、皇太后も20歳前後という「幼君にして国疑う」状況で、中原の朝廷は危機に瀕していた。

当時の中央軍総司令・国防大臣兼参謀総長に相当する「殿前都点検」だった趙匡胤(ちょう・きょういん)は、危機時に出陣を命じられた。しかし、将領たちは後周王朝への信頼を失っており、軍が陳橋驛に到着した際には進軍を停止し、「王朝交代」を要求。趙匡胤を皇帝に推戴する行動に出た。

趙匡胤は知らぬ間に龍袍(皇帝の衣)を着せられ、退路を断たれたことで現実を受け入れざるを得なくなり、宋王朝を樹立するに至った。これが陳橋兵変である。戦争や民衆への被害もなく、王朝交代としては社会的コストが極めて低かったのが特徴だ。

現在の張又俠や劉源も「陳橋兵変」のような計画を検討すべきかもしれない。習近平が4中全会で心変わりするのを待つのではなく、開会直前に素早く行動し、習近平を完全に軟禁して表に出させず、「健康上の理由」で辞任を強要する手法が最も効果的と言える。

さらに、習近平には党中央常務委員会の人事案を提出させ、4中全会で汪洋を代理総書記、胡春華を国務院総理に指名する案を審議させるべきだ。このような展開になれば、4中全会が混乱する可能性は大幅に減少するだろう。

以上が、張又俠や劉源が生死を賭けた局面でどのような行動を選ぶ可能性があるかの分析である。実際に彼らがどのような決断を下すかは今後の情勢次第であり、引き続き観察が必要だ。

結び

趙匡胤の陳橋兵変から今日の中共中央での権力危機に至るまで、軍人の決断が国家の命運を左右してきた歴史がある。激動と不確実性の時代、「決断すべき時に断固決断できる者」は誰か。それとも、好機を逃す者は誰なのか。今後数週間、世界の注目がこの動向に集まることになりそうだ。

関連特集: 百家評論