スターリンク詐欺利用2500台遮断 ミャンマー詐欺拠点対策強化

2025/10/23 更新: 2025/10/23

米宇宙開発企業スペースXは10月21日、ミャンマー国境地域の詐欺拠点で使われていた「スターリンク」約2500台の接続を停止したと発表した。

タイとミャンマーの国境地帯には30を超える詐欺組織が存在するとみられ、世界各国から人々が人身売買によってこの地へ連行され、詐欺行為を強制されているという。このような詐欺による、世界中での被害額は年間で数百億ドルに上るとされている。

スターリンクの事業運営責任者ローレン・ドレイヤー氏は、この措置を認めたうえで「スターリンクは違反行為を確認した場合、直ちに対応を取る」とコメントした。

こうしたミャンマーの詐欺拠点は中国の犯罪組織の支配下にあり、長年にわたり偽の恋愛話や投資名目で被害者を欺いてきた。時には合法的な仕事を装って外国人を誘い込み、監禁、拷問、暴行を加えたうえで犯罪行為を強要しているという。

人権活動家らは以前から、スターリンクの通信技術によって国境の僻地でもインターネット接続が可能となり、詐欺活動の温床になっていると警告していた。

ドレイヤー氏はSNS「X」に投稿し、「私たちはスターリンクのサービスが常に善の力であり続けるよう努めている。世界からの信頼を守りつつ、未接続地域の人々をつなぐと同時に、不正行為者による悪用を検知・防止していく」と述べた。

ミャンマー軍は10月20日、国内最大規模のオンライン詐欺拠点である「KKパーク(KK Park)」を制圧し、過去2年間反乱勢力に占拠されていた地域を奪還したと発表した。軍は同時に2千人超の労働者を解放し、「スターリンク」の端末30台を押収したという。

公開された画像では、施設の屋上に衛星通信アンテナが設置されている様子が確認できるほか、映像には数千人の労働者が徒歩でKKパークを退去する様子も映っていた。

こうした通信詐欺拠点は、ミャンマーにおける戦時経済の重要な構成要素となっており、軍事政権は各地で反乱勢力と交戦を続ける一方、中国共産党の支援を頼りに権力を維持しているとみられる。

林燕
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