トランプ米大統領が来日し、高市早苗首相との異例の「マリーンワン」同乗を通じて日米同盟の結束をアピールする。今回の訪問は安倍外交の継承や両国の安全保障、経済関係強化を象徴するものとなり、各界の注目を集めている。
トランプ米大統領は10月27日に来日し、3日間にわたる公式訪問を行う予定である。滞在中には、新首相、高市早苗氏と首脳会談を実施する見通しである。
ホワイトハウス関係者によれば、トランプ大統領は高市首相を大統領専用ヘリ「マリーンワン」に招き入れ、共に神奈川県の横須賀海軍基地へ向かう予定であるという。外国首脳が同機に同乗するのは極めて異例であり、日米同盟が新たな段階に入ったことを示す象徴的な措置とみられている。
ヘリ同乗が示す日米同盟の堅固さ
高市早苗氏は今週、日本初の女性首相に就任した。高市氏はすでに、故・安倍晋三元首相の外交・安全保障方針を踏襲する姿勢を明確にしている。24日に開かれた国会での初の所信表明演説で高市首相は、「トランプ大統領との首脳会談を通じて信頼関係を構築し、日米同盟を新たな高みに引き上げる」と力強く語った。

ホワイトハウス関係者の説明によると、トランプ大統領と高市首相は二国間会談終了後に東京都内の米軍ヘリポートを出発し、同乗した「マリーンワン」で横須賀基地へ向かう。その後、同基地を母港とする原子力空母「ジョージ・ワシントン」(USS George Washington)を共に視察する予定である。
外国の指導者が「マリーンワン」に搭乗するのは極めてまれであり、トランプ大統領による高市政権への厚い信頼の表れとされる。日米同盟の緊密さを象徴する重要な場面になるとの見方が広がっている。
アメリカ側もトランプ大統領と高市首相の会談に対して大きな期待を抱いている。スコット・ベッセント財務長官は米メディアの取材に対し、「トランプ大統領と高市首相は非常に良好な関係を築くだろう」と述べ、高市氏を「故・安倍晋三元首相の弟子」と位置づけたうえで、「安倍氏とトランプ大統領は極めて親密な関係にあった」と強調した。
トランプ大統領は再びホワイトハウスに戻って以降も、安倍氏をしばしば懐かしみ、親しみを込めて「シンゾー」と呼んでいた。高市首相の外交姿勢は、安倍路線の継承を色濃く反映している。
感情外交で絆を演出 「安倍の愛用品」贈呈へ
高市首相は、首脳間の個人的信頼関係を強化するため、象徴的な記念品をトランプ大統領へ贈呈することを検討している。
その中には、安倍晋三氏が生前に愛用していたゴルフクラブが含まれており、この贈り物は安倍昭恵夫人の意向によるものであるという。
ほかにも、2017年にトランプ大統領と安倍氏と共にプレーしたプロゴルファーの松山英樹選手が当時使用したサイン入りゴルフバッグや、能登半島地震の被災地である石川県金沢市で製造された金箔製のゴルフボールなども贈呈候補に挙がっている。
高市首相は「安倍元首相がゴルフを通じて築いた信頼関係を継承する」ことを重視しているとされる。
また、トランプ大統領は28日に在日アメリカ大使公邸で安倍昭恵夫人と面会する予定である。多忙な外交日程のなかで故安倍氏の遺族との面会を特別に設けるのは、両者の深い友情を印象づける狙いがあるとみられる。
戦略的布石と経済的メッセージ
トランプ大統領の今回の訪日は、続くアジア歴訪への戦略的な布石とされている。日本訪問を終えた後、トランプ大統領は韓国に移動し、30日に中国共産党の習近平党首と会談する予定である。会談では、レアアースの輸出管理や台湾海峡情勢など、安全保障および貿易の敏感な問題が議題に上る見通しである。
専門家の間では、トランプ大統領がまず日本を訪れて高市政権に厚意を示すことで、米中会談を前に日米同盟をより堅固にし、戦略的優位を確保する意図があるとの見方が出ている。
経済面では、日本の主要企業もトランプ訪日期間中に好意的な対応を示す構えである。トヨタ自動車はアメリカで生産した車両を「逆輸入」する形で日本国内に導入することを検討しているという。
トヨタは「日米の貿易不均衡を改善するのが目的」と説明しており、豊田章男会長もトランプ大統領との経済人会合に出席する予定である。
東京で警備強化 1万8千人超を動員
トランプ大統領の安全確保のため、日本警察庁は東京都警視庁が最大約1万8千人の警察官を動員する大規模警備体制を発表した。この規模は2019年の前回訪日に匹敵し、警視庁所属の警察官の約4割にあたる。
トランプ大統領は2024年7月の選挙演説中に銃撃を受けた経緯があることから、警察は高所からの狙撃警戒や「ローンウルフ型(単独犯)」によるテロ対策を一層強化する方針である。
2019年の訪日時にも、警視庁は約1万8千人を動員し、千葉・神奈川両県からもそれぞれ3500人前後を投入。総勢約2万5千人が配備され、2001年の米同時多発テロ(9.11)以降では、米大統領の単独訪問としては最大規模の警備体制となる。
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