米軍 東太平洋の麻薬密輸船を空爆 テロリスト2人を殺害

2025/11/05 更新: 2025/11/05

アメリカのピート・ヘグセス国防長官は11月4日、米軍が同日、東太平洋で麻薬密輸船に対して空爆を実施し、船上にいた麻薬密売に関与したとされるテロリスト2人を殺害したと発表した。

ヘグセス氏はSNSプラットフォーム「X」で、この密輸船がアメリカ政府が公式にテロ組織として認定している団体によって運航されていたと述べ、船上の「男性麻薬密売テロリスト」2人が攻撃で死亡し、米軍側に死傷者はなかったと明らかにした。また「情報によれば、この船舶は違法薬物の密輸に関与しており、既知の麻薬輸送ルートに沿って航行し、薬物を運搬していた」と説明した。

さらにヘグセス氏は「我々はアメリカへ麻薬を密輸し、国民を毒する意図を持つすべての船舶を追跡・破壊する。我々の最優先任務は祖国を守ることだ。いかなる麻薬組織やテロリストもアメリカ軍に太刀打ちすることはできない」と強調した。

国防総省によれば、米軍は9月以降、アメリカへの麻薬密輸に関与したとされる船舶に対し16件の作戦を実施しており、11月4日の空爆はその最新の事例である。

最近、米軍はカリブ海地域で軍備を増強しており、これがアメリカとベネズエラの関係緊張を引き起こしている。ベネズエラ当局は、密輸船を標的とするこの作戦について、挑発的であり主権を侵害する行為だと非難した。

国防総省は10月24日、世界最大の空母「ジェラルド・R・フォード」(USS Gerald R. Ford)を南方軍司令部の担当区域に派遣し、中南米およびカリブ海地域を対象とする麻薬対策作戦を支援すると発表した。

同月、ベネズエラは、アメリカ軍がミサイル駆逐艦「グレイブリー」(USS Gravely)をベネズエラの隣国トリニダード・トバゴに配備して共同軍事演習を行ったことを非難し、その報復として同国とのエネルギー協力を一時停止した。

トランプ大統領は11月2日に放送されたCBSの番組『60ミニッツ』で、米軍とベネズエラの間で戦争が起こる可能性を否定し、同地域での米軍増強はベネズエラ人によるアメリカへの不法移民や麻薬密輸への対応であると述べた。

トランプ氏は両国間で戦争が起こるかとの質問に対し「おそらく、起こらないだろう」と答え、「彼ら(ベネズエラ政府)は我々に対してずっと悪い態度を取ってきた。麻薬問題だけではない。彼らは何十万人もの望まれざる人々を我が国に送り込んでいる」と述べた。

さらに、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の政権が長くは続かないのではないかとの質問には「そうだと思う、そうなるだろう」と答えた。トランプ大統領は以前から、マドゥロ政権が麻薬組織を支援していると非難してきたが、マドゥロ氏はその指摘を否定している。

米国とアジア太平洋地域のニュースを担当するフリーライター。
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