デニーズ・コーポレーションは、投資家グループによる6億2,000万ドルでの買収に合意した。同社が11月3日に声明で発表した。
買収の概要とプレミアム
この合意に基づき、「デニーズの株主は、保有するデニーズ普通株式1株につき現金6.25ドルを受け取る。この買収価格は、取引発表前の最終取引日である2025年11月3日月曜日のデニーズの終値に対し、52.1%のプレミアムとなる」と同社は述べた。
全額現金によるこの取引は、デニーズの取締役会によって全会一致で承認された。デニーズは、店舗数に基づくと、米国最大のフルサービス・レストランチェーンの一つである。
買収グループの詳細
このレストランチェーンを買収するのは、ニューヨークを拠点とする未公開株投資会社TriArtisan Capital Advisors LLC、投資会社Treville Capital Group、そしてデニーズ最大級のフランチャイズ加盟店であり、米国で約550店舗のレストランを所有・運営するYadav Enterprises Inc.から成るグループである。
6月25日時点で、同社は直営84店舗、フランチャイズおよびライセンス契約店1,474店舗を含む1,558店舗を所有していた。そのほとんどがデニーズ・ブランドで運営され、一部はKeke’sというブランド名で運営されている。
この取引は、規制当局や株主からの承認など、特定の条件を前提として、2026年第1四半期までに完了する見込みである。取引完了後、デニーズ普通株式はナスダックでの上場を廃止する予定である。
株価と企業戦略
同社の株価は10月31日に3.91ドルで引けたが、11月3日には5%以上上昇し、4.11ドルで引けた。デニーズの株価は、COVID-19のパンデミック前は23ドル以上で取引されていた。
デニーズ・コーポレーションのケリー・ヴァラード最高経営責任者(CEO)は、同社が40を超える潜在的な買収候補に接触し、複数のオファーを受け取ったと述べた。
ヴァラードCEOは次のように述べている。「我々は、株主に重要かつ短期的で確実な現金価値を提供するこの取引に合意することを嬉しく思う。デニーズは『アメリカのダイナー』として強固な基盤を持っており、ダイナミックな消費者環境を乗り切りながら、デニーズとKeke’sのプラットフォーム全体で重要な進展を遂げたことを誇りに思う」、「TriArtisanとYadav Enterprisesは、主要なレストラン・ブランドの経験豊富な管理者であり、彼らと協力することに期待している」
デニーズが11月3日の声明で発表したところによると、直近の第3四半期(9月24日終了)の営業収益は1億1,320万ドル、純利益は60万ドルであった。
ヴァラードCEOは、デニーズはデジタル展開の強化、新しいロイヤルティ・プログラム、映画とのコラボレーションを通じて、ブランドの魅力を高めていると述べた。
レストラン業界のM&A動向
投資銀行Boxwood PartnersのCEO兼マネージングパートナーであるJ. パトリック・ガレハー氏は、今年初めのエポックタイムズ紙とのインタビューで、フランチャイズ部門は合併・買収(M&A)取引の機が熟していると述べていた。
同氏は、「クイックサービス・レストラン(QSR)は、その実証済みの適応性と回復力のおかげで、M&A分野での活動増加が見込まれている」と述べた。
投資銀行会社Capstone Partnersは、10月23日のレストラン市場のM&Aアップデートで、業界が不安定な客足に見舞われていると述べた。
同社によると、マクロ経済の懸念と関税の変動が人々の裁量的支出を圧迫し、その結果、M&A活動が抑制されているという。
「この背景により、消費者に自宅で調理するのではなく外食を促すため、バリュー・ポジショニングの強化が必要とされている。強い知覚価値(Perceived Value)を持つレストラン・コンセプトは、売上と客足の成長が見られ、特にカジュアル・ダイニング部門が現在までにクラス最高の成長を経験している」
「企業を買収しようとしている投資家(または企業)は、市場が変動する中でもより安定した収益を得ることを重視している。そのため、彼らは、資産が軽く、その場所の大部分がフランチャイズ化されている運営者を主にターゲットとする。これは、フランチャイズ本部が、客足の変化がもたらす影響を直接受けにくくする『緩衝材』として機能し、不安定な市場環境の中でも安定したキャッシュフローを享受できるためである」
Capstone Partnersのディレクターであるケニー・グリーン氏は、不安定な消費者環境にもかかわらず、健康、価値、および運営規律を組み合わせたレストラン・ブランドは、投資家から高く評価され、資金が集まっていると述べた。
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