BBCトップとニュース責任者辞任 1月6日トランプ演説の編集問題で批判受け

2025/11/10 更新: 2025/11/10

BBCのトップとニュース部門最高経営責任者(CEO)は、2021年1月6日のドナルド・トランプ大統領の演説を視聴者に誤解を与える形で編集したとして批判を浴び、11月9日に辞任した。BBCは同日、一連の声明でティム・デイビー局長とデボラ・ターネスCEOとの関係を解消したことを明らかにした。

「20年間在籍したBBCを去る決断をしたことをお伝えします」と、デイビー局長は11月9日、スタッフ宛ての書簡で述べた。

「これは完全に私の判断です。議長と理事会には、在任中、特に最近の数日間も変わらぬ一貫した支持をいただき、心から感謝しています」と続けた。デイビー局長はBBCに20年間勤務してきたが、退任時期は明言せず、後任の選定に協力すると表明した。

「ますます分断が進む時代に、BBCは独自の価値を持ち、私たちの最良の部分を体現しています。英国を特別な場所にしているのは、圧倒的に親切で寛容で好奇心旺盛な国民性です。すべての公共機関と同様、BBCも完璧ではなく、常にオープンで透明性が高く、説明責任を果たさなければなりません」とデイビー局長は語った。

「BBCニュースをめぐる現在の議論が、私の決断の唯一の理由ではないものの、当然ながら影響を受けました。全体としてBBCは良好に機能していますが、いくつかのミスもあり、局長として最終的な責任を負わなければなりません」とも述べた。

BBCのサミール・シャー議長は、デイビー氏を「過去5年間、卓越した局長だった」と評価した。

ターネス氏も11月9日にスタッフ宛ての辞表で、このスキャンダルに言及した。

「トランプ大統領を扱った番組『パノラマ』をめぐる論争が続いているせいで、BBC――私が愛するこの組織――に深刻なダメージが生じています」とターネス氏は書いた。

「BBCニュース・アンド・カレント・アフェアーズ部門のCEOとして、最終責任は私にあります。昨夜、局長に辞表を提出しました」と続けた。

『パノラマ』はBBCの看板ニュース番組である。ターネス氏はさらに、「公の場でリーダーは完全に説明責任を負う必要があります。だからこそ私は退きます。ミスはありましたが、BBCニュースが制度的に偏っているという最近の主張は誤りであることを、はっきりさせておきます」と強調した。

BBCは、2024年10月28日に放送した「ドナルド・トランプ:セカンド・チャンス?」という番組で、2021年米議会議事堂襲撃事件当日のトランプ演説を恣意的に編集したと非難された。この『パノラマ』の放送回は2024年大統領選の1週間前に放送され、演説の2つのクリップを繋ぎ合わせ、トランプ氏が「議事堂まで歩いていく。私は君たちと一緒だ/そして戦う、死ぬ気で戦う。死ぬ気で戦わなければ、国はもうない」と発言したかのような印象を与えた。

BBCは、別々の発言を編集して視聴者を誤解させたとして批判された。元の演説では、繋ぎ合わせられた最初の部分「議事堂まで歩いていく。私は君たちと一緒だ」は演説開始から15分後、「死ぬ気で戦う」はさらに54分後だった。

トランプ大統領は11月9日午後、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で辞任に反応した。

「BBCのトップら、ボスのティム・デイビー含め全員が辞任/解雇された。なぜなら、私の1月6日の素晴らしい(完璧!)演説を『改ざん』したのがバレたからだ」と投稿した。

「テレグラフ紙がこれらの腐敗した『ジャーナリスト』を暴いてくれたことに感謝する。彼らは大統領選の結果を不正に操作しようとした非常に不誠実な連中だ。それだけでなく、彼らは外国人であり、多くのアメリカ人が最重要同盟国とみなす英国から来ているのだ。民主主義にとってこれほどひどいことはない!」と続けた。

米国ナッシュビル在住のエミー賞受賞ジャーナリスト。以前はニューヨーク・ポストやフォックス・ニュース・チャンネルで働き、ニューヨーク市ではオフ・ブロードウェイ・ミュージカルのシリーズも執筆した。
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