日中間の外交対立が激しさを増すなか、SNSプラットフォーム X が舌戦の舞台となっている。中国共産党(中共)の新華社通信は最近、高市早苗首相が「軍国主義」へ向かっていると示唆する風刺漫画をXに投稿。これに対し日本のネットユーザーは、習近平が鏡をのぞき込み、その鏡の中に「くまのプーさん」が映る別の漫画画像でやり返し、画像は急速に拡散した。
高市氏は国会答弁で、台湾有事は「存立危機事態」になりうると明言し、中共側は強く反発している。中共外務省は自国民に対し、日本への渡航を当面控えるよう呼びかけており、その後、中国各航空会社で日本行き航空券がおよそ50万枚キャンセルされたと報じられている。
こうしたなか、新華社の日本語Xアカウントが投稿した風刺イラストが新たな火種となった。画像では、高市氏を思わせるスーツ姿の女性が鏡の前に立ち、鏡の中には軍服姿の自分が映っている。高市氏が「軍国主義」へ踏み出しているとの印象を与える内容だが、日本のネットユーザーはすぐさまカウンターを仕掛け、習近平が鏡をのぞくと「くまのプーさん」が映る構図の画像などを投稿して応戦した。
コメント欄には「このプーさんの画像は世界中の人が意味を理解する」「新華社の画像は日本で自由に広まるのに、日本側の画像は中国ではすぐ削除される」「本来かわいいプーさんを独裁の象徴みたいに扱うのは気の毒だ」といったコメントが並び、中国側の情報統制や言論空間の違いを皮肉る声も目立つ。
日中関係の緊張が続くなか、アメリカのジョージ・グラス駐日大使もXで、皮肉を交えて、呉江浩駐日中共大使と薛剣駐大阪中共総領事が「揺るぎない日米の絆を一層深めるために尽力してくれたことに心から感謝している」と投稿した。
グラス大使は「さながら一足早くクリスマスを迎えた気分だ」と書き込み、中共側の強硬な対応が結果的に日米の結束を強めているとの見方をにじませた。この日中間の対立は、日米中3か国関係だけでなく、北東アジアや台湾情勢にも影響を与える可能性があるとみられている。
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