中共の闇の支配 人身売買大国の実態

2025/11/29 更新: 2025/12/01

論評

中国はAIやロボット工学などの先端技術で目覚ましい成果を上げる一方で、人身売買という極めて古く、非道な慣行においても支配的な存在となっている。

アメリカ国務省の2024年版「人身売買報告書」によると、中国は人身売買対策の最低基準を満たさず、政府が広範な虐待に関与していると指摘されたことから、最低評価に据え置かれた。さらに、中国共産党(中共)が広範な違法行為に関与している疑いを指摘している。

これは単なる残虐な犯罪ではなく、国家が主導する恐怖統治と組織的虐待、人格や身体の損壊である。中国共産党(中共)は、全体主義的な統制下に置かれた巨大な人口を利用し、強制労働や性的搾取、さらには臓器の強制収奪を含む数十億ドル規模の収益で産業を支えている。中共当局は、脆弱な人々を標的として異議申し立てを抑え、国民に恐怖を植え付け、さらに不正な経済利益を得ている。

中国の人身売買ネットワーク

世界的に見れば、中共による人身売買への関与は新しい現象ではない。人身売買自体は、他国や文明では何世紀、いや、何千年も前から存在してきた。しかし、中共による人身売買は、その規模・組織化・国家関与の程度において際立っている。

中共の国家ぐるみの人身売買は最新の監視技術や資金力に支えられ、年間で数十億ドル規模の収益を生み出している。中共のネットワークは国内全域および国外にまで広がり、難民や反体制派を含む多数の人々が取引対象となっている。農村部での児童誘拐から、良心の囚人を対象とした組織的な臓器売買、さらには世界各地での性的搾取に至るまで、対象者や手口に限界は見られない。

児童の強制労働・違法養子縁組

中国国内の人口移動問題は、人身売買の大きな要因となっている。都市部で働くために親が地方から移動する過程で、多くの子供が「留守児童」として取り残される。推計によると、毎年数百万人の子供が誘拐され、レンガ工場や各種工場での強制労働や、違法な養子縁組の対象となっている。これは現代の奴隷制度であり、臓器取引とは別の深刻な問題である。

2023年の世界奴隷指数によると、2021年時点で約580万人が中国国内で奴隷的状態に置かれており、国民1千人あたり約4人に相当する。

女性の性的搾取・強制結婚

人身売買を生むのは経済的要因だけではない。中共の一人っ子政策により、男性が女性より3千〜4千万人多い「女性不足」が発生し、結婚適齢期の女性人口が大幅に不足している。この「自ら招いた人口危機」に対して、中共当局は騙しや強制によって外国から花嫁を連れてくる「花嫁輸入」行為を事実上黙認している。

たとえば、ミャンマー、ベトナム、北朝鮮、パキスタンの女性は、仕事の斡旋を装って中国へ誘い込まれ、そこで3千〜1万3千ドルで売り買いされ、強制結婚や売春、事実上の妾(めかけ)扱いを強いられる。

2024年の人身売買報告書によると、人身売買組織は偽装仲介業者を通じて女性にレイプや強制的な出産、家庭内奴隷労働を強い、特に北朝鮮の脱北女性は送還への恐怖から抵抗しにくく、最も弱い立場に置かれている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、この「花嫁取引」が数十億ドル規模の利益を生むとしており、民族的少数集団出身の女性はさらに重層的な差別に直面しているという。

しかし、中共にとってこれらは大きな懸念事項ではない。実際、2022年にはシャオ・ホアメイという女性が24年間にわたり転売され、首を鎖でつながれ監禁されていた事件が明るみに出て、中国における人身売買を阻止する制度的な欠陥や、加害者を処罰できない問題を露呈した。にもかかわらず、中共当局はこの事件を軽く扱った。

北朝鮮脱北者の性的搾取・花嫁取引

中国と北朝鮮の国境は警備が手薄であり、両国間の人身売買の主要ルートとなっている。飢餓や抑圧から逃れようとする北朝鮮の脱北者、特に女性は、人身売買組織にとって格好の標的となっている。2023年時点で最大50万人の北朝鮮人女性や少女が吉林省、遼寧省、黒竜江省で拘束され、年間1億500万ドル規模の性的搾取・花嫁取引の対象となっているとされる。

北朝鮮との人身売買の手法は極めて単純だ。仲介業者は仕事の口実で女性を鴨緑江や豆満江を越えて中国側に誘導し、その後サイバーセックス、売春、あるいは強制的な結婚へと追い込む。Korea Future Initiativeによると、過去10年間に4340件以上の事例が確認され、またLiberty in North Koreaによると、女性脱北者の60%が人身売買の被害に遭っている。この国家黙認のルートは、地政学的利害と利益追求が絡み合い、脱出経路を奴隷の供給路へと変貌させている。

中東・南アジア 国境越えた「花嫁詐欺」

中国における花嫁需要は中東や南アジアにも及び、人身売買組織は経済協定や脆弱な国境管理を悪用し、パキスタンやバングラデシュなどから女性を中国に送り込んでいる。これらのルートは中共の一帯一路構想のインフラと結び付き、中国の人口問題を中東や南アジアへ輸出する形になっている。

もちろん、こうした現象は珍しいものではなく、すでに何年も前から把握してきた。

臓器摘出 政治的迫害 法輪功・キリスト教徒への弾圧

中共が精神修養団体「法輪功」を弾圧し始めたのは1999年であり、2000年以降、その学習者は臓器収奪の主要な標的となった。中国の臓器移植産業は年間10億ドル規模に達し、政治的迫害によって声を封じられた「良心の囚人」からの強制的臓器収奪に依存している。毎年6万〜10万件の説明不能な移植手術が、血液検査を受けた収容者を対象として行われているとの推定がある。

2019年には「中国法廷(China Tribunal)」が、臓器摘出が「相当な規模で」行われ、その過程で犠牲者が死亡しているとの結論を示した。2021年には国連の専門家が、法輪功信者、ウイグル人、チベット人、キリスト教徒に対して非自発的な臓器摘出が行われたとする報告を発表した。今年7月には、中共当局がウイグル人が多く居住する新疆地区で臓器摘出関連施設の数を3倍に増やす計画であるとの報道もあった。

いつ終わるのか

中共による自国民および他国民に対するこれらの悪しき行為は、いつ終わるのだろうか。いずれ終わらなければならない。しかし、その前に中共自身の支配が終わる必要がある。その一方で、世界が中国の科学技術の進歩に驚嘆する時、その裏で中国は世界最大級の監視国家であり、少数民族や政治的反対者、宗教団体を迫害し、腐敗した当局者が人間の苦痛を骨組みにした世界的供給網から利益を得ているという現実を忘れてはならない。

『中国危機』(Wiley、2013年)の著者であり、自身のブログTheBananaRepublican.comを運営している。南カリフォルニアを拠点としている。
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