アメリカに偉大な12年が始まる マスク氏 トランプ・ヴァンス体制を高く評価

2025/12/04 更新: 2025/12/04

テスラとスペースXの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏は、先日行われた非公開の集まりで、アメリカが「偉大な12年のスパン」の始まりにあるとの見方を示し、トランプ氏の2期目に続き、ヴァンス副大統領が大統領を2期務めると予測した。

マスク氏によるこの「12年政権」予測は、トランプ米大統領の4年間の2期目と、その後ヴァンス氏が大統領選に勝利して8年の任期を務めるという構想に基づく。大胆な見通しは、共和党の大統領選での優勢に対するマスク氏の自信を示している。

DOGEチームの再会イベントにオンライン参加

政治専門メディア「ポリティコ」は12月2日の報道で、3人の関係者の話として、マスク氏が11月22日、元政府効率化省(DOGE)メンバーのイベントにオンラインで参加したと伝えた。

イベントには、現役・元DOGEメンバー約150人とその家族が参加した。マスク氏は暗い背景の場所からオンラインで現れ、スピーチを行った。

現地に姿を見せなかった理由についてマスク氏は、自身がアメリカ国内で暗殺の標的となり得る人物のひとりであり、その順位はトランプ大統領とヴァンス副大統領に次ぐものだと説明した。今回のイベントが公になっていた以上、安全のため現地参加を避けたという。

マスク氏は以前から安全面の懸念を述べており、昨年のテスラ株主向け電話会議では暗殺される可能性を減らすために「運動を増やすべきかもしれない」と話した。

なおイベント中は安全確保のため、参加者の携帯電話は保管袋に入れられた。

メンバーらの奉仕への感謝

スピーチでマスク氏は、DOGEメンバーがワシントンで活動する中で、高給与の仕事を辞めたこと、政治的反発を受けたこと、脅迫にさらされたことなどへの感謝を述べた。

DOGEはトランプ政権発足時に設置され、連邦機関の予算や人員削減を目的に活動した。

参加者がバーベキューやメキシコ料理のファヒータを楽しむ中、マスク氏はアメリカ国内で内戦が起きる可能性への懸念から、文明の技術レベルを評価する「カルダシェフ・スケール」、さらには火星への移住についてまで話題を広げた。

参加者によると、マスク氏は地球から火星へミサイルを発射しても到達に6か月かかるため、「火星の居住者にはそれだけ備える時間がある」と冗談めかして述べ、会場の笑いを誘った。

オンライン参加への落胆も

一方で、マスク氏が直接参加しなかったことに失望する声もあった。関係者の一人は「配偶者を連れてきた参加者の中には、マスク氏が現場に姿を見せなかったことに落胆した人もいた」と話す。

マスク氏の右腕であるスティーブ・デイビス氏やアンソニー・アームストロング氏らはイベントに出席し、DOGEメンバーはかつてワシントンの米総務管理局(GSA)ビル6階で生活していた経験などを語り合った。

ヴァンス副大統領との関係

ペンシルベニア州バトラーでのトランプ氏暗殺未遂事件後、マスク氏は現大統領への支持を公にした。今年6月に両者の関係が一時悪化したが、その後修復した。マスク氏とヴァンス副大統領の間により強い個人的関係が築かれているとされる。

マスク氏はすでに政治活動から距離を置く意向を示しているものの、ヴァンス氏が2028年大統領選に出馬すれば、世界一の富豪でありテック界の大物であるマスク氏と、その巨額の政治支出は、ヴァンス氏にとって強力な推進力となる可能性がある。

政治への関与について、マスク氏は最近のインタビューで「私が政治に関わると、概して結果は良くない」と語っている。

とはいえ今回のDOGE再会イベントは、ワシントンでマスク氏の政治的目標を支える可能性のある人々との関係構築に向けた場とも見られ、同氏が2032年を視野に入れていることがうかがえる。

マスク氏の予測する「今後12年間の共和党政権」は、保守的な政治潮流への自信と、トランプ政権中枢との近さを浮き彫りにしている。

高杉
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