中国では新生児が手術後に死亡する事例が相次ぐなか、湖南省でも生まれたばかりの赤ちゃんが湘雅二病院で2度の開胸手術を受けた後に死亡した。遺族は医療ミスの可能性を強く疑い、ネット上で助けを求めながら病院側に説明を求め続けている。
中国メディアによると、父親の説明では、赤ちゃんは生後すぐに「先天性心臓奇形」、主動脈狭窄、動脈管開存、心房中隔欠損と診断された。11月5日(生後4日目)と11月21日に湘雅二病院の心血管外科で2度の手術を受けたが、初回手術後も状態は改善せず、2回目の手術後にはさらに悪化し、11月24日に亡くなった。
遺族がSNSで公開した情報によると、赤ちゃんは抖音(中国版TikTok)では“小暖崽”の名で紹介されており、本名は王瑞澤(ワン・ルイズォ)。11月2日生まれで、病院の心外科主任は遺族に対し、「手術は簡単で成功率は90%以上だ」「手術をしなければ腸壊死や腎不全につながる」と説明していたという。
11月5日の初回手術後、医師からは「順調に終わった」と伝えられた。しかし遺族が診療記録を確認すると、赤ちゃんは毎日「重篤状態」と記されていた。
11月20日、医師は「血管が再び狭窄している」と告げ、翌21日に2度目の開胸手術を実施した。医師は「3時間で終わる」と説明していたが、実際には8時間を要した。術後1時間で「危篤」と病院から連絡が入ったものの、病院側は父親にさえ面会を認めず、最期を見送ることもできなかったという。
遺族によれば、病院側は事前の説明や同意なしに人工心肺(ECMO)と呼吸器を外していた。病院は今も明確な死亡原因を示しておらず、遺族が求める手術中の監視映像も提示していない。
11月29日、遺族はSNSに動画を投稿し、「一刻も早く解剖委託書を手に入れたい」と支援を求めた。父親によると、国家衛生健康委員会(衛健委)が仲介し、遺族と病院側の話し合いが始まった。遺族は解剖を行う方針を決め、「原因を明らかにし、正義を取り戻したい」としている。
この事件は、多くのネットユーザーの怒りと悲しみを呼んでいる。
「洛熙ちゃんの事件だってまだ終わっていないのに、また赤ちゃんが犠牲に。いったいどうなっているのか」
「医師は『手術しないと命に関わる』と言いながら『手術は簡単で危険はほとんどない』とも言う。寧波の件と話しぶりも結果もそっくり。1回目で悪化して、2回目で亡くなった」
一部では、恐怖と疑念の声も広がっている。
「赤ちゃんに何かされたんじゃないか」「臓器が目的だったのか」「開胸して臓器を取ったのでは」「(臓器移植の)マッチングが『成功』したのか」「体の中から何か取られた? 考えるだけで怖い」
議論のなかでは、11月14日に寧波大学付属婦女児童医院で心臓手術後に亡くなった5か月の早産女児・洛熙ちゃんのケースも引き合いに出されている。
今年11月、生後5か月の早産女児・洛熙ちゃんが寧波大学附属婦女児童医院で手術後に突然死亡し、家族は訴える場がないためネット上で不当性を訴えた。母親の鄧さんによると、娘は11月11日の検査で心房中隔欠損が見つかり、担当医は自然閉鎖の可能性が低いとして早期の手術を勧めたという。11月14日の手術は予定を大きく超えて約9時間に及び、術後の説明にも食い違いがあった。遺族が手術室の監視映像の確認を求めたものの、病院側は「記録がない」として応じなかった。さらにネット上では、担当医が過去の同様の手術で複数の乳児死亡例に関与していたとの指摘も相次いでいる。
「どうして同じことが何度も起きるのか。医師は何のために家族を説得して手術をするのか。お金なのか、実績作りなのか。動機が分からないままでは、こんなことまた起きてしまう」
湘雅二病院は長沙市で最大規模の総合病院で、肝臓、腎臓、心臓、肺、小腸、膵臓などの移植手術を行っている。2002年以降、移植件数が急増しており、違法移植が報じられたことも複数回ある。
2024年10月31日には、同院の創傷救急医学センター副主任・劉翔峰が、正常な臓器の無断切除や違法移植への関与などで17年の実刑判決を受けた。
また2024年5月8日には、同院移植科の実習医・羅帥宇氏が不可解な転落死を遂げた。彼の家族が復元したパソコンには、「劉翔峰や病院関係者が違法に臓器を入手・売買していた」とする大量のデータが残っていた。警察は「自殺」と発表したが、遺族は口封じの可能性を疑い、SNS上で訴え続けている。
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