木原官房長官 レーダー照射事案で事実関係説明 中国側の主張に反論

2025/12/10 更新: 2025/12/10

木原官房長官は12月10日午前の定例会見において、中国軍機によるレーダー照射事案に関する中国側の発信と、それに対する日本政府の認識について言及した。

中国側の主張と日本政府の事実認識

中国側は、訓練空域を事前に公表していたことや、海上自衛隊への通告時の音声記録とするものを公開するなど、一連の主張を発信している。官房長官は、中国国営メディアの関連アカウントが報じた音声については承知しているとしつつも、その一つ一つにコメントすることは差し控えるとした。

そして、以下の点については事実であると認めた。

レーダー照射事案が発生した12月6日土曜日、中国海軍艦艇から海上自衛隊の護衛艦に対し、飛行訓練を開始する旨の連絡があり、その内容を聞き取った旨の応答をしたのは事実であると説明した,。

一方で、中国側の主張とは異なる点も明確に否定した。

  1. 訓練情報の具体性: 空母遼寧の艦載機がどのような空域において訓練を行うかという具体的な情報は、自衛隊にはもたらされていなかった。
  2. 事前通報の有無: 訓練に関するノータム(航空情報:NOTAM,NOtice To AirMen)や航行警報が事前に通報されていたという事実も存在しない。

問題の本質は「危険な行為」

官房長官は、中国側が指摘する「自衛隊が接近して妨害した」という指摘は当たらないと反論した。中国共産党(中共)軍が自衛隊に対しレーダー照射を行った際、両機間の距離は「目視できないほど離れており」、自衛隊が接近・妨害したという中国側の指摘は根拠がないとしている。

官房長官は、今般の事案における問題の本質は、日本が対領空侵犯措置を適切に行う中において、中国側が約30分にわたる断続的なレーダー照射を行ったことであると強調した。これは、航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であるとし、日本政府として中国に対し再発防止を厳重に求め、引き続き冷静かつ毅然と対応していく方針を示した。

米国政府の反応と日米連携を歓迎

また、米国務省が9日、中共軍機による自衛隊機へのレーダー照射について「中国の行動は地域の平和と安定に資するものではない」と批判したことへの受け止めを問われ、官房長官はこれを歓迎する考えを示した。

2025年12月9日、米国務省が発した声明文(出典:アメリカ国務省)
2025年12月9日、米国務省が発した声明文の英語版(出典:アメリカ国務省)

官房長官は、米国との間では「かつてなく強固になった日米関係を維持そして強化すべく、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致」していると述べ、米国政府のコメントは強固な日米同盟を示すものであると評価した。

日本政府は、引き続き米国を始めとする各国に対し、日本の立場や考えを適切に説明・発信し、米国等と連携して対応していくとしている。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。
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