ポーランド 共産党禁止 中国民衆の中共批判噴出

2025/12/10 更新: 2025/12/10

ポーランド憲法裁判所が共産党を違法化。東欧脱共産化の波が中国ネットで反響、抖音(ドウイン)で「天の意志」「中共批判」コメント殺到。民衆覚醒と体制転換の兆しとは?

ポーランドの決断が示す自由主義の堅持

12月3日、ポーランド憲法裁判所は歴史的な判決を下した。ポーランド共産党を違法組織と認定し、政党登録から削除するというものである。この決定は単なる一政党の禁止措置にとどまらず、共産主義イデオロギーを完全に否定する象徴的な行為として、世界の注目を集めている。

ポーランド憲法第13条には、ナチズム、ファシズム、共産主義といった全体主義イデオロギーに基づく政党の存在を禁じる規定がある。この条項を根拠に、裁判所はポーランド共産党が憲法に違反していると認定した。

担当判事のクリスティナ・パヴウォヴィチ氏は判決文で、共産主義の危険性を強く指摘した。「ポーランドの法体系には、共産主義の犯罪を美化する政党の存在を許す余地はない。同党は数百万人の犠牲をもたらした犯罪者と体制を称賛してきた」と述べた。この発言には、共産支配がポーランド社会に残した深い傷への認識がにじむ。

2002年に設立されたポーランド共産党は党員数が少なく、選挙での影響力も限定的であったが、その象徴的な意味は大きかった。ポーランドは約50年間にわたり旧ソ連の影響下で共産主義体制の支配を受け、その遺産はいまも国民の記憶に深い傷跡を残している。

5年にわたる法廷闘争を経た禁止措置

禁止措置に至るまでの道のりは長かった。2020年、当時の検察総長兼司法相がポーランド共産党禁止を申し立てたが、裁判所はこれを却下。その後、2025年11月、カロル・ナヴロツキ大統領が改めて申し立てを行った。大統領は「共産主義イデオロギーは基本的人権およびヨーロッパとキリスト教文明の伝統に反している」と明言した。約5年間にわたる法的闘争の末、ついにポーランド共産党は終焉を迎えた。

中国問題の専門家・王赫氏は、この判決の意義を強調する。「ポーランドは過去の歴史から学び、教訓として受け止めた。その意味は極めて深い」と語る。王氏によれば、ロシアは共産主義体制を放棄したものの、その悪弊は依然として残り、ウクライナ戦争を通じて体制の危険性をポーランド人が痛感しているという。この判決は、将来の危機を未然に防ぐための先制措置ともいえる。

『天安門詩集』の編集者・蒋品超氏は、「ポーランドは制度と法律の両面から共産主義を完全に排除した。これは大きな事業であり、世界各国に示唆を与えるだろう」とコメントしている。

東欧に広がる脱共産主義の動き

1989年以降、東欧の社会主義国家は次々と共産党体制を崩壊させ、ソ連も解体した。ウクライナは2015年に「脱共産化法」を制定し、共産主義およびナチズムの象徴や宣伝表現の使用を禁止。2022年にはウクライナ共産党とその資産の永久禁止を決定した。リトアニアやラトビアも、法律によって共産党活動や関連の象徴・宣伝を禁じている。

ルーマニアは共産主義などの全体主義的行為を法律で禁止。チェコ共和国は2025年7月に刑法を改正し、共産主義の宣伝をナチズムと同等に扱う条文を追加した。この新法は2026年1月1日に発効予定である。東欧全域に広がるこうした動きは、共産主義への明確な拒否と、民主主義・人権の尊重を示す流れである。

中国ネットユーザーの共感と体制批判

ポーランドの共産党禁止のニュースは、中国大陸でも大きな反響を呼んだ。動画プラットフォーム抖音では、ネットユーザーの称賛コメントが相次いだ。コメント欄には、中国共産党(中共)体制への暗黙の批判が見え隠れする。

「ポーランドは天の意志を体現した」「邪悪な組織を根絶することは万人の責務だ」「これは人類の災厄を生む元凶だ」「恐怖の体制は滅ぶべきだ」「世界への福音だ」「人類に害を及ぼす毒瘤を除去せよ」「ようやく人民に希望が訪れた」——こうした声が次々に投稿されている。その意図は明白である。

あるネットユーザーは、「今も二つの太陽がある。一つは北朝鮮、もう一つは……当てるのは難しいね」とコメントした。比喩的ながらも、中共体制への強い批判をにじませた発言である。

蒋品超氏はこの現象を分析し、「中共体制は極めて腐敗している。権力者は自らの利益だけを追い、民衆の生死を顧みない。今や多くの中国人が目を覚まし、体制の転換を強く望んでいる」と述べている。

共産主義が中国にもたらした災厄は計り知れない。大飢饉による人為的惨事、文化大革命による伝統文化の破壊、天安門事件の学生虐殺、法輪功への弾圧、民間資産の略奪、人権の恣意的踏みにじりなど、その悪行は歴史に深く刻まれている。近年では、国外へ脱出を試みる中国人も少なくない。

民心の覚醒と変革の兆し

王赫氏は、中共の上層部も党体制に将来性がないことを認識していると指摘する。「資金も家族も海外に逃がしている」と語り、「目覚めた中国人たちは『三退』(共産党などの組織から離脱する運動)に参加している。すでに4億5千万人以上が公然と離脱を表明している」と明らかにした。

王氏はさらに、ポーランドの判決を扱った動画のコメント欄に寄せられた声が、強い民意を反映していると分析する。「それは中共の支配から解放され、自由を得たいという率直な願いである。ポーランドの出来事を通じて、中国の人々は矛先を中共に向けている。中国は今、歴史的転換の時期を迎えつつある」と述べた。

評論家の周暁輝氏は、「今回のポーランドの決定は世界への警鐘である。世界に害を及ぼした共産主義の毒素を徹底的に排除すべき時が来た」と語った上で、「中共による迫害に苦しんできた多くの中国人にとって、中共崩壊は待ち望まれた日だ。共産主義を放棄してこそ、中国に希望がもたらされる。中共体制が崩壊すれば、ポーランドのように『民族記憶学院』の設立も可能になるだろう。その時、数々の罪悪が白日の下に晒されるはずだ」と指摘した。

自由と人権をめぐる世界的変化

ポーランドの決断は、一国の歴史的清算にとどまらず、全世界への警告と言える。これは、民主主義と人権への揺るぎない信念を映し出している。中国民衆がこのニュースに示した強い共感は、専制体制からの解放を求める普遍的な人間の願いを象徴している。東欧諸国の脱共産化の歩みは、自由と人権を追求する人類共通の価値観を改めて浮き彫りにしたのである。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。
易如
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