中国で臓器移植病院が急増 臓器の出所は依然不明

2025/12/15 更新: 2025/12/15

中国で臓器移植病院が急増し、広州大会で分配システムが紹介されたが、出所は不明だ。関係者は「提供者少なく複雑」と指摘。法輪功学習者や行方不明児童からの収奪疑惑が再燃し、ネットで「恐ろしい」との声が広がる。

国際臓器移植大会が最近、中国広州市で開催され、登壇者の一人が臓器の分配階層やシステムの運用方法を紹介したことが波紋を呼んでいる。ネット上では、会議で発表された内容や中国の臓器移植の背景について懸念の声が相次ぎ「まったく容赦がない」「考えれば考えるほど恐ろしい」といったコメントが寄せられている。取材に応じた関係者は、中国では臓器移植が急速に拡大しており、臓器の出所や流通経路が不透明なままでは社会の不信感が一層深まるだろうと話している。

臓器の出所について 医師:「実際の状況はもっと複雑」

今回、中国共産党(中共)の関係部門が主催した人体臓器移植大会は、12月6日から8日まで広州で行われた。短編動画アプリ「抖音(Douyin)」上で拡散した映像には、ある男性がカメラの前で、現場で発表された6つの臓器分配原則を紹介する様子が映っている。その中には、医療ニーズの優先順位や、病院から国家まで4つの段階にわたる分配チェーンの仕組みなどが含まれ、「システムの運用方法および政策評価メカニズムの確立」を掲げ、科学委員会が定期的に分配および共有政策を評価し、適宜修正を加えると説明していた。

広州南方医院の外科医・劉医師(仮名)は記者に対し、地元では十数か所の病院が臓器移植関連の研究に取り組み、すでに臨床応用に入っていると語った。

「こちらでは複数の病院が臓器移植手術を行っている。主に肝臓と腎臓の移植が中心で、中山大学付属第一病院、第三病院など十数か所で実施されている。心臓移植を行っているのは、現時点では広東省人民医院と広州医科大学付属第一医院の2か所だけだが、来年には4か所に増える可能性があると聞いている」と述べた。

劉医師によると、多くの病院が心臓移植の研究を進めたいと考えているという。「肝臓や腎臓の移植は比較的難易度が低いが、心臓移植は非常に複雑で、現時点では多くの病院が対応できない」と説明した。

臓器の出所や病院の背景について問われると、同医師は自らの知る内容はあくまで「聞いた話」にすぎず、実際はより複雑であると強調した。「中国では臓器を進んで提供する人が極めて少ない。あとは……想像に任せる」と話した。

中国で大量に行われている臓器移植は、一体どこから臓器が供給されているのかという疑問を呼んでいる。この問題が初めて表面化したのは2006年3月、ある証人が大紀元に対し、中国共産党による法輪功学習者の臓器収奪の実態を暴露したことに端を発する。その後も、臓器の多くが法輪功学習者、死刑囚、少数民族の人々、行方不明の子どもらから提供されているとの告発が相次いでおり、これらはいずれも自発的な提供ではないとされている。

中国で臓器移植病院が拡大 実際の数は公式発表を大幅に上回る

中国国内の臓器移植対応病院は急速に増加している。中共国家衛生健康委員会のウェブサイトが2019年10月に公表したデータによると、中国全土で臓器移植が認可されている医療機関は約173か所に上る。これらは全国各地に分布しており、その中でも広州は重要な拠点のひとつで、少なくとも一部の病院が完全な移植資格を持ち、関連手術を実施している。広東省全体では、臓器提供および移植に関与する病院が20か所以上ある。北京市内には17か所あり、そのうち4か所が心臓移植を実施できる。

2024年10月時点では、国家衛健委のサイト上で人体臓器移植診療科目の登録を完了している医療機関は187か所に増えている。さらに数年以内には、300か所に達するとみられている。

しかし、ある事情通によると、実際の臓器移植病院の数は政府の公表をはるかに上回るという。「すでに300を超えており、控えめに見ても500か所以上に達しているだろう」と証言した。

政府は提供率の低さとドナー不足を認めるも、出所情報は非公開

この事情通はさらに「臓器移植にはドナーの出所が関わっており、当局は実際の数字を決して公表しない。今回広州で開かれた国際臓器提供会議は、実際には臓器移植技術の水準を国外にアピールし、臓器を求める外国人患者を呼び込む狙いがある」と述べた。

中国新聞社の12月8日付報道によると、第8回中国-国際臓器提供大会が12月6~8日に広州で開催され「中国臓器提供・移植発展報告(2024)」および「人体臓器移植医師養成拠点建設ガイドライン」が発表された。その中では、提供率の低さやドナー不足といった課題も指摘された。

会場の簡報資料によれば、病院・OPO(臓器取得機関)・省級・国家の四つの階層で構成される分配チェーンは、COTRS(中国人体臓器分配・共有コンピューターシステム)を通じて運用され、科学委員会が定期的に政策を評価する仕組みとなっている。会議では臓器の取得および分配手続きの技術的な詳細についても紹介があった。

中共の臓器移植発展基金会および国家衛生健康委員会(国家衛健委)のデータによると、2024年、中国では2万4千件を超える臓器移植手術が実施された。移植センターは主に大都市の総合的な三等甲級(最高等級)病院に集中している。しかし、政府はこれまで一度も臓器の出所に関する具体的な情報を公表していない。

行方不明児童報道減少と臓器移植の関連指摘

同時に、中共の国営メディアは行方不明児童に関する報道を徐々に減らしており、疑われる誘拐児童を発見した際に110番通報を呼びかけなくなっている。

さらに、政府当局は全国の行方不明児童の年間あるいは累計の数も公表しなくなった。現在利用できる情報は、公安当局が一部公開したデータや民間の捜索プラットフォームによるものに限られている。

民間の公益プラットフォーム「宝貝回家(ベイビー・カム・ホーム)」は、設立以来、行方不明児童の登録情報を5万件以上収集しており、ボランティアが手がかりの確認やデータ照合、親子の再会支援を行っている。同サイトはこれまで数千件の事案で行方不明児童の発見に成功しているものの、依然として行方不明のままのケースが数多く存在する。子どもの失踪理由は、人身売買、迷子、家庭内トラブル、監護の怠慢、精神疾患などさまざまである。

こうした状況が、政府が強力に推進する臓器移植政策と重なっているとの指摘もある。ネット上では、「考えれば恐ろしい」「自分たちが地獄に落ちるのは勝手だが、他の人まで巻き込むな」といった激しいコメントも寄せられている。

楊茜
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