内閣府は、重要土地等調査法に基づき、重要施設周辺や国境離島等における土地・建物の利用状況等の調査を実施し、この度、令和6年度中に取得された土地等の状況が取りまとめられ、16日に公表された。この調査は、不動産登記簿等の公簿や届出、地図、航空写真、ウェブサイト等の情報に基づいて行われたものである。
令和6年度の調査結果によると、注視区域内における土地等の取得総数は113,827筆個であり、そのうち、外国人または外国系法人による取得は3,498筆個で、取得総数の3.1%を占めることが判明した。特に東京都内の重要施設周辺で外国人・外国系法人による土地等の取得事例が突出して多く確認された。
調査の背景と目的
本調査は、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(重要土地等調査法)に基づき実施されている。法律の目的は、防衛関係施設、海上保安庁の施設、原子力関係施設、特定の空港などの重要施設の敷地の周囲おおむね1,000メートルの区域内(注視区域)にある土地等が、当該重要施設等の機能を阻害する行為に供されることを特に防止することにある。
なお、令和6年度の調査は、令和5年度と比べて対象区域と調査期間が拡大している。特に、大都市圏の区域が多い第3次指定(180区域)と第4次指定(184区域)については、令和6年度の調査期間が1年間または約10.5ヶ月間にわたり、令和5年度の調査期間(約2.5ヶ月間または対象外)から大幅に延長されたため、両年度の結果を一概に比較することはできない。
令和6年度の調査結果の詳細
外国人・外国系法人による取得状況
令和6年度における外国人・外国系法人による土地・建物の取得総数3,498筆個(取得総数の3.1%)は、令和5年度の371筆個(取得総数の2.2%)と比較して大幅に増加しているが、これは前述の通り調査対象区域・期間の拡大が大きく影響している。
国又は地域別の内訳(上位)を見ると、中国が1,674筆個と全体の47.5%を占め最も多い結果となった。次いで台湾が414筆個(11.7%)、韓国が378筆個(10.7%)であり、この上位3国・地域で全体の約7割を占めている。
また、取得した外国人・外国系法人について、国内所在者と国外所在者の割合を見ると、国内所在者が79.6%、国外所在者が20.4%であった。
取得事例が目立つ地域
外国人・外国系法人による土地等の取得数が多かった都道府県は以下の通りである。
- 東京都: 1,558筆個(取得総数21,829筆個に占める割合は7.1%)。
- 神奈川県: 339筆個。
- 千葉県: 235筆個。
- 北海道: 217筆個。
- 福岡県: 211筆個。
特に、東京都内の注視区域での取得事例が突出しており、上位を占めている。
- 衛生学校・艦艇装備研究所・ニューサンノー米軍センター(東京都):553筆個(中国252筆個、台湾97筆個など)。
- 防衛省市ヶ谷庁舎(東京都):309筆個(中国166筆個、台湾46筆個など)。
- 補給統制本部(東京都):262筆個(中国158筆個、台湾59筆個など)。
今後の対応と予測
内閣府は、今回の公表対象となった事例を含め、注視区域内における重要施設等の機能を阻害する不適切な土地等の利用を防止するため、引き続き必要な対応を進めていく方針である。
なお、令和6年度中には、重要土地等調査法第9条の規定に基づく勧告および命令は実施されていない。
今後も、重要施設周辺の土地等の利用状況については、不動産登記簿やその他の公簿、地図、航空写真、公開情報などに加えて、必要に応じて現地・現況調査を実施しながら、継続的に監視体制が強化されると予測される。
特に大都市圏の区域指定が進み、調査期間が長期化する中で、外国人・外国系法人による土地取得の動向は詳細に把握されていくこととなる。
政府の対応は、不適切な利用を未然に防ぐことに主眼が置かれており、引き続き、勧告や命令といった規制措置の適用に至る事例が発生するかどうかが注視される。
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