脱中国化加速! 複数の日系企業が中国工場を閉鎖

2025/12/17 更新: 2025/12/17

日本企業による中国での事業再編の動きの中で、「脱中国化」と呼ばれる傾向が鮮明になりつつある。近年、広東省の中山市や恵州市において、キヤノンやソニーの関連事業が相次いで縮小または終了するとの情報が伝えられ、注目を集めている。

複数の業界関係者によれば、かつてのように工場閉鎖によって一挙に撤退するのではなく、出資の引き上げや協業解消、新規投資の抑制などを通じて、中国における経営・制度リスクを段階的に軽減する企業が増えているという。

キヤノン中山工場閉鎖:1400人解雇

キヤノンは広東省中山市のレーザープリンター工場が11月21日付で生産および営業を停止し、約1400人の従業員を解雇したことを認めた。会社側は、生産停止の決定は市場需要の変化や競争環境など、商業的な要因に基づくものであると説明し、中国国内の他の生産拠点は引き続き稼働していると強調した。

この発表を受け、地元製造業界では議論が広がり、同工場の閉鎖は象徴的な意味を持つと受け止められている。日系企業が珠江デルタ地域の製造分野で後退局面に入っていることを示すとみられている。

12月14日には、ソニーの広東省恵州市で進める関連プロジェクトの再編が注目された。複数のメディアやSNS上の情報によると、ソニーの恵州生産拠点は事実上の閉鎖や撤退に向かう兆候がみられ、関係する従業員は1万人規模に上る。労働者の処遇やプロジェクトの終了計画にも影響が及んでいるという。ソニー側は現時点で公的な説明を発表していない。地元関係者は、同工場はかつて中国でのソニー主要拠点の一つであったと述べ、今回の再編は日系企業が中国での生産体制を再評価する事例であると分析している。

識者分析:出資引き上げと静かな撤退

広東・珠江デルタ地域で長年にわたり日系メーカーに勤務してきた機電系エンジニアの程匡氏は、日系企業の動きは突然の撤退ではなく、段階的な縮小として進んでいると指摘する。「一気にすべてを引き上げるのではなく、少しずつ縮小している。追加投資をやめる企業や、株式を売却する企業もある。合弁を解消するケースも増えている。自動車メーカーの中には、表面上は操業を続けているように見えても、主力業務をインドなど他国へ移転している」と説明した。

中日合弁事業の経営に詳しい北京の学者・曽琪氏は、近年の再編は従来のような工場閉鎖や大規模リストラによるものではなく、より静かで分散的な形で進行していると分析する。出資撤退、提携終了、技術ライセンスの打ち切りなどが一般的な手段となっているという。

曽氏は「多くの場合、商業登記の変更や契約満了などを通じて自然に終了する形が取られており、外部からは変化が見えにくい」と述べた。

曽氏によれば、2019年以降、大連は「中日地方発展協力モデル区」に指定され、中国当局は日本資本の誘致を進めてきたが、最近では一部の日本企業が協力終了を模索しているとの情報を確認している。

北京で複数の日中合弁プロジェクトの交渉に携わってきた企業コンサルタントの姜氏も、日本企業の対中方針の変化を指摘する。「日本の本社は近年、中国事業に関する意思決定が明らかに慎重になっている。短期的な利益よりも、長期的な不確実性リスクへの評価が重視されるようになった」と述べた。そのため、まずは株式を引き上げ、その後に事業規模を段階的に縮小する傾向が強まっているという。

データでみる日本企業の中国依存低下

『日経アジア(Nikkei Asia)』は11月26日付の記事で、日本企業が中国市場への依存度を徐々に下げていると報じた。海外事業を持つ企業のうち、中国を「最重要市場」とみなす割合は16.2%にとどまり、2019年の23.8%から減少している。また、「中国を最も重要な市場と考える」と回答した企業の割合も25.9%から12.3%へと大幅に低下した。

日本貿易振興機構(JETRO)のデータによると、日本の対中輸出は2024年まで3年連続で減少し、2021年比で約24%減となった。特に自動車部品や産業用ロボットなど機械関連製品の輸出は3年連続で2桁減を記録している。

現在、キヤノンとソニーの両社はいずれも「中国撤退」との見方を公式に認めていない。地方政府も、関連する再編や調整について特別な説明は発表していない。しかし、複数の業界関係者は、こうした動きが日本企業の対中戦略における構造的転換を示しているとみている。

帝国データバンクが2025年10月に発表した調査でも、海外事業を展開する日本企業の中で中国を最重要市場とみなす割合は引き続き低下している。日本の関連機関の統計によれば、中国で事業を展開する日系企業の数は2020年の約1万3600社から2022年には約1万2700社へと減少しており、日本企業の対中事業構成が中長期的に見直されていることを示している。

識者の一部は、「これらの動きの多くは出資の引き上げや協力関係の終了といった静かな手段で行われており、今後、地方の製造業や雇用構造、外資との協業モデルにどのような影響をもたらすか注意深く観察する必要がある」と指摘している。

邢度
関連特集: 日本経済