高市総理 「素志貫徹」強調 不退転の決意で日本再生へ

2025/12/19 更新: 2025/12/19

令和7年12月17日、臨時国会の閉会を受けて高市内閣総理大臣は記者会見を行った。就任以来、物価高対策を最優先課題として掲げ、補正予算の成立や数々の重要法案の可決を成し遂げてきた高市総理だが、その会見の締めくくりに発せられたある言葉が、政権の確固たる意志を象徴している。

それは、高市総理がかつて松下政経塾で学んだ塾頭・松下幸之助氏の教え、五誓の一つである「素志貫徹」に由来する言葉だ。高市総理は、「成功の要諦は成功するまで続けるところにある」という言葉を引用し、いかなる困難に直面しても、志を抱いて為すべきを為し続けることで道は必ず開けるという強い信念を示した。

「決断と前進」を支える不退転の決意

高市総理がこの言葉を強調した背景には、日本が直面する山積した課題への危機感と、それを打破しようとする「決断と前進」の姿勢がある。会見では、約8.9兆円の補正予算による生活支援や、医療・介護施設への前倒し支援、さらには「103万円の壁」に対する税制措置の調整など、国民の暮らしを守るための具体的な施策が次々と語られた。

これらは単なる一時的な措置ではない。高市総理が目指すのは、「積極財政による国力の強化」であり、経済の好循環によって税率を上げずとも税収が増える姿をつくることである。この長期的な目標を達成するためには、一時的な批判や困難に屈することなく、施策を「成功するまで続ける」粘り強さが不可欠となる。

危機管理投資と「強い日本」

また、政権の成長戦略の肝として掲げられた「危機管理投資」も、この精神と深く結びついている。経済安全保障、エネルギー、サイバーセキュリティといった戦略分野において、官民が連携して先手を打つ投資を継続することは、将来の日本の成長を左右する。

高市総理は、宇宙やフュージョンエネルギーといった研究開発の難易度が高い領域についても、「研究開発税制」の深掘りなどを通じて強力に後押しする方針を明かした。これらは短期間で結果が出るものではないが、「志を遂げるまで決して諦めない」という総理の言葉通り、継続的な支援によって日本を再び世界の高みへと押し上げる決意が滲み出ている。

「主体的判断」に宿る国家の覚悟

今回の会見で特に際立ったのは、日本の安全保障に対する主体性の強調である。高市総理は、激変する国際情勢を直視し、「防衛力の抜本的強化」を「我が国の主体的判断」によって実施していく必要があると断言した。他国の動向に左右されるのではなく、日本自らが国の守り方を決定し、実行するというこの表現には、自立した国家としての極めて強い意志が込められている。

その一方で、防衛力の強化が国民生活の犠牲の上に成り立つものであってはならないという点も明確にされた。防衛財源の確保について、現在与党税制調査会で議論が進められているが、総理は「新たな家計の負担増とはならない形」での決着を目指すと明言した。物価高への対応を最優先課題に掲げ、補正予算においてガソリン・軽油価格の抑制や電気・ガス代支援などを盛り込んだ背景には、常に国民の暮らしを第一に考える政治姿勢がある。

懸念を直視し「対話」を継続する外交

外交面においては、現実的な安全保障上の課題を直視しながらも、対話の扉を閉ざさない粘り強い姿勢が示された。高市総理は、中国を「重要な隣国」と位置づけ、建設的かつ安定的な関係の構築を目指すと述べている。

しかし、日中間には経済安全保障を含む安全保障上の懸念事項が厳然として存在している。総理はこれらの問題を伏せることなく、率直に対話を重ねることで「戦略的互恵関係」を包括的に推進していく考えを示した。特に、「存立危機事態」に関する政府の立場についても、中国および国際社会に対して「粘り強く説明していく」としており、対立を抱えつつも理を尽くして平和を模索し続ける姿勢は、地域の安定に極めて重要な意義を持つ。

日本古来の精神と「素志貫徹」

会見の最後に高市総理は上述した松下政経塾の「五誓」の一つである「素志貫徹」に触れた。「常に志を抱きつつ、懸命に為すべきを為すならば、いかなる困難に出会うとも道は必ず開けてくる」。この、決して諦めずに成功するまで続けるという精神は、日本人が古来より大切に積み上げてきた不撓不屈の伝統的な考え方に他ならない。

高市内閣はまだ始動したばかりである。しかし、日本列島を強く豊かにし、再び世界の高みに押し上げるという「志」を遂げるまで全力を尽くすという総理の言葉には、日本の伝統精神を今の時代に体現し、国家の難局を乗り越えようとする確固たる決意が凝縮されている。

▶大紀元EPOCH TIMES JAPAN編集長 ▶「日本の思想リーダーズ」「THE PARADOX 真実のへ扉」番組ナビゲーター 、「大紀元ライブ」番組ホスト。
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