12月20日、日本と南米南部共同市場(メルコスール:MERCOSUR)は、両者の経済関係を新たな高みへと引き上げるため、「日・メルコスール戦略的パートナーシップ枠組み」を立ち上げた。この枠組みは、日本とメルコスール諸国が共有する基本的価値に基づき、信頼できる経済パートナーとしての関係を盤石にするものである。
今回のパートナーシップ枠組みの立ち上げに向けた協議は昨年から開始されていたが、大きな転換点となったのは本年3月のルーラ・ブラジル大統領による国賓訪日である。その際の日・ブラジル首脳会談後に発表されたアクション・プランにおいて、メルコスールとの貿易関係を深化させるための議論を進展させることが確認されており、今回の共同声明はこの首脳間での合意を具体的な形にしたものと言える。
共同声明において、日本とメルコスールは互いを最も重要な経済パートナーの一つとして再確認した。対象となる加盟国には、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、および2023年12月に加盟が決定され現在国内の批准手続き中であるボリビアが含まれるが、ベネズエラについては、現在加盟資格が停止されている状態にあることが明確に区分されている。
日本とメルコスールは、開かれた市場経済へのコミットメントという共有する基本的価値に基づき、長期的かつ包括的な視点から戦略的関係を一層強化し、協力をより高いレベルへと引き上げることを目指している。
この枠組みの下での協力分野は多岐にわたり、従来の貿易や投資の促進に留まらず、サプライチェーンの強靱性、デジタル経済、エネルギー転換、さらにはグリーン・トランスフォーメーション(GX)といった現代的な課題が含まれている。日本とメルコスールは、未来志向で信頼に基づく経済関係を強化することで、結びつきを発展させるだけでなく、世界の平和、安定、および繁栄を促進するために協力していくことを再確認した。
今後の展望として、この枠組みを効果的に実施するための具体的な議論が加速する見込みである。まず、年明けの早期に日本およびメルコスール加盟各国の外務省や関係省庁が参加する第1回会合を開催すべく調整が進められている。この会合を含め、今後は貿易や投資を含む将来の経済連携に向けた更なる具体的なステップを具現化するための意見交換が行われる予定である。
日本にとって、メルコスールは巨大な市場であり、資源供給地としても極めて重要である。この新枠組みは、日本と南米を結ぶ経済連携の基盤となるものであり、これまでの友好関係という土台の上に、デジタルやグリーンといった現代的な協力分野を積み上げ、両者が繁栄という共通の目標を達成するための堅固な基盤を提供することが期待されている。
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