2022年7月、安倍晋三元首相が暗殺された。暗殺者はその教団を憎んでいたが、なぜか教団の人間ではなく安倍元首相に銃口を向けた。
奇妙なことにその後、日本の主要メディアは「一つの宗教団体を悪」とする報道を続けた。結果、その宗教団体が解散寸前に追い込まれ、今、日本では、民主主義の根幹とも言える「信教の自由」が破壊されようとしている。
あの悲劇から3年、その狂った日本の言論空間に一石を投じるノンフィクション作家・福田ますみ氏の最新作『国家の生贄(いけにえ)』(飛鳥新社)が先月発売され、12月23日、出版記念パーティーが東京都で開催された。
会場には月刊『Hanada』編集長の花田紀凱氏、文芸評論家の小川榮太郎氏、前参議院議員の浜田聡氏といった多才な顔ぶれが登壇し、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)を巡る過熱報道や解散命令請求の是非、そして日本の司法・メディアが抱える構造的欠陥について、熱い議論が交わされた。
著者の福田ますみ氏は、執筆のきっかけを「一人の信者との出会いだった」と振り返る。メディアでは「絶対悪」のように報道されている教団の信者が全く印象が異なっており、実際には極めて良識的な人物であったことに衝撃を受け、取材を開始。3年以上の月日をかけて、メディアが報じない「真実」を追った。
福田氏は、世間が信じる「洗脳」や「高額献金の強要」というイメージと、自発的に信仰を持つ信者の実態との間にある「絶望的な乖離」を指摘。「刑事事件も起こしていない団体が、なぜここまで社会の敵として仕立て上げられたのか。その背景にある特定の力を解き明かしたかった」と、本書に込めた決意を語った。
文芸評論家の小川榮太郎氏は、この問題を単なる宗教トラブルではなく、1970年代から続く「政治イデオロギー戦」の延長線上にあると分析する。
「左翼勢力は、保守派と密接だった勝共運動を潰すため、彼らの宗教的側面を『邪教』としてPRする戦略をとった。これが40年かけて日本人の宗教アレルギーと結びつき、強固な負の常識を作り上げた」と小川氏は指摘。共産党の機関紙に出る著名人は批判されない一方で、家庭連合に少しでも触れれば「社会的に抹殺される」という現在の言論空間の歪さに警鐘を鳴らした。
月刊『Hanada』編集長の花田紀凱氏は、オールドメディアの姿勢を痛烈に批判した。特に、批判の急先鋒である「全国弁連」のバックグラウンド(日本共産党との深い関係)を報じない不誠実さを挙げ、「日本のメディアは腐っていると言わざるを得ない」と断じた。
また、前参議院議員の浜田聡氏は、国会での経験をもとに「岸田政権による解散命令請求の解釈変更や、文科省の提出資料に捏造の疑いがある点」を追及してきた。浜田氏は「解散命令を認めることはテロリストの思惑を達成させることと同じだ」と述べ、司法判断が世論に流されている現状に懸念を示している。
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