夜9時、突然の爆音が街を包んだ。
窓が震え、建物が揺れ、ペットが驚いて逃げ出す。だが、その正体について、当局は最後まで説明しなかった。
2025年12月29日夜、中国の地方都市・河南省信陽市で、正体不明の大きな音が発生した。市内の広い範囲で同時に聞こえたとされ、住民が撮影した動画がSNS上に相次いで投稿された。多くの人が「爆発のようだった」「建物が揺れた」と証言している。
一部では戦闘機の訓練による音の衝撃ではないかとの見方も出たが、「音が長く続いた」「範囲が広すぎる」「なぜ消防車が出動したのか」と疑問の声も多い。実際、現場周辺では消防車が確認作業にあたったとの目撃談も出ている。
(河南省信陽市で響いた大きな音の瞬間を捉えた映像①、SNS投稿より、2025年12月29日)
(河南省信陽市で響いた大きな音の瞬間を捉えた映像②、SNS投稿より、2025年12月29日)
地元メディアによると、住民の通報を受けて消防が現場を確認したものの、異常は確認されず撤収したという。しかしその後、市の応急管理部門が発表した公式コメントは、「警察や消防に有効な通報はなかった」という内容にとどまり、音の原因や発生源については触れなかった。
この対応に、ネット上では批判が噴出した。「皆が聞いているのに説明がない」「原因を示さない発表に意味はあるのか」「事実を明らかにしてこそ不安は収まる」といった声が相次いだ。
こうした「正体不明の巨大音」は、近年中国各地で繰り返し報告されている。12月27日には四川省成都市で全市が揺れたとされる爆音が発生し、9月には河北省石家荘市でも同様の事例があった。広西チワン族自治州、山西省、山東省などでも窓ガラスが割れるほどの衝撃音が伝えられたが、いずれも当局は「報告を受けていない」「原因は不明」とする発表に終始している。
突然の異変そのものよりも、市民の不安を増幅させているのは、その後に続く沈黙だ。何が起きたのかを説明しない姿勢が繰り返される限り、「安全だ」という言葉だけでは、人々の不安は消えない。

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