防衛協力の新たな深化 日・フィリピン物品役務相互提供協定へ署名

2026/01/15 更新: 2026/01/15

2026年1月15日、フィリピンを訪問中の茂木敏充外務大臣は、マリア・テレサ・ラザロ・フィリピン共和国外務大臣との間で、「日・フィリピン物品役務相互提供協定(日比ACSA)」に署名した。この協定は、自衛隊とフィリピン軍が互いに物品や役務を融通し合う際の手続きを定めるものであり、両国の防衛協力を新たな段階へと引き上げる重要な節目となる。

協定の概要と対象範囲

本協定(日比ACSA)は、自衛隊とフィリピン軍の間で、後方支援分野における物品および役務を相互に提供するための枠組みを設けるものである。これにより、従来必要だった個別の調整を簡略化し、円滑かつ迅速な相互提供が可能になる。

提供の対象となる活動は、以下の通り多岐にわたる。

  • 共同訓練
  • 国際連合平和維持活動(PKO)および国際連携平和安全活動
  • 人道的な国際救援活動や大規模災害への対処
  • 外国での緊急事態における自国民等の保護措置・輸送
  • 艦船・航空機の訪問を含む日常的な連絡調整

具体的な提供項目には、食料、水、宿泊、輸送(空輸含む)、燃料・油脂、通信業務、衛生業務(診療等)、基地活動支援、修理・整備、そして弾薬が含まれる。ただし、武器の提供については本協定の対象外であることが明確に規定されている。

署名の背景

日比両国は近年、防衛協力を急速に強化してきた。その背景には、2015年に署名された「防衛協力及び交流に関する覚書」や、2024年7月に署名された「相互アクセス協定(RAA)」がある。

今回のACSA署名は、これまでの協力関係を基盤とし、現場レベルでの相互運用性(インターオペラビリティ)をさらに高めることを目的としている。両政府は、このような枠組みが自衛隊およびフィリピン軍の役割をより効率的に果たさせ、国際社会の平和と安全に寄与するとの理解で一致している。

今後の予測と影響

本協定は、両国が国内手続の完了を通知する外交公文を交わした日の30日後から効力を生じ、10年間にわたって有効となる。

今後の予測として、以下の展開が期待される。

  1. 共同訓練の高度化:燃料や弾薬、基地利用などの手続きが簡素化されることで、より実戦的かつ大規模な共同訓練が実施しやすくなる。
  2. 災害救助・人道支援の迅速化:大規模災害発生時、フィリピンまたは第三国での救援活動において、現地での補給や輸送支援が即座に開始できる体制が整う。
  3. 地域安定への寄与:フィリピンとの安全保障協力が深化することで、インド太平洋地域における日本のプレゼンスが強化され、地域の安定に向けた抑止力および対処能力の向上につながるとみられる。

本協定に基づき受領した物品や役務は、提供側の事前同意なしに第三者へ移転することは禁じられており、国際連合憲章と両立する形で使用されることが保証されている。これにより、透明性の高い協力関係が維持される見通しである。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。
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