EUは1月18日、加盟27か国の大使級会合を緊急に開き、トランプ米大統領が「グリーンランド取得」に反対するヨーロッパの同盟国に対し、段階的な関税引き上げを示唆している問題について協議した。
EUの6か月交代の議長国であるキプロスは1月17日夜、翌18日に会合を開くと発表した。会合は現地時間午後5時開始の予定。
トランプ氏は1月17日、自身のSNSトゥルース・ソーシャルに投稿し、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、フィンランドに対し、2月1日から10%の追加関税を課し、6月1日には25%に引き上げる考えを示した。「グリーンランドを完全かつ全面的に購入する取引が成立するまで」としている。
トランプ氏は、アメリカにとってグリーンランドは国家安全保障上必要だと主張し、取得に成功しなければ「世界平和が危うい」と警告した。1月17日の投稿では「これは地球の安全、保障、そして生存にとって非常に危険な状況だ」とも書き込んだ。アメリカが管理下に置けなければ、中国またはロシアが奪う可能性があるとも述べた。
一方、上記8か国は、すでにアメリカから10%または15%の関税の対象になっているという。8か国はまた、グリーンランドに小規模な部隊を派遣した。
8か国は1月18日の共同声明で、「関税をちらつかせる脅しは米欧関係を損ない、危険な悪循環を招きかねない」と指摘した。部隊派遣は「共通の利益」として北極圏の安全保障を強化することが目的で、誰に対しても脅威ではないと説明。アメリカとは「主権と領土保全の原則」に基づく対話に応じる用意があるとした。
声明では「デンマーク王国とグリーンランドの人々に全面的に連帯する」「われわれは自国の主権を守る決意だ」とも表明した。
デンマークのフレデリクセン首相は、「アメリカ大統領による関税発表以降、(デンマーク)政府は同盟国と集中的に協議してきた」と述べた。そのうえで「ヨーロッパ共同体をつくり上げた基本的価値観を堅持することが一層重要だ。協力を望んでおり、対立を求めているのは私たちではない」とし、「ヨーロッパは脅しに屈しない」というヨーロッパ各国からの一貫したメッセージを歓迎するとした。
スウェーデンのクリステション首相も1月17日、SNSへの投稿でフレデリクセン氏の立場に同調し、「デンマークとグリーンランドに関する問題を決めるのはデンマークとグリーンランドだけだ」と述べた。「今回、標的とされている国々にとどまらず、より多くの国に影響するEUの問題だ」とし、スウェーデンはEU諸国、ノルウェー、イギリスと協議を続け、協調した対応を探っていると明らかにした。
アメリカのJD・ヴァンス副大統領とルビオ国務長官は1月14日、ホワイトハウスでデンマークのラーズ・ロッケ・ラスムセン外相、グリーンランドの外相に当たるビビアン・モツフェルト氏と会談した。ラスムセン氏は会談について、「率直で、かつ建設的な議論だった」と説明した。
トランプ氏は1月16日、グリーンランドというデンマーク領の購入をアメリカに認めることに「同意しない」場合、ヨーロッパの同盟国に対し関税措置を検討していると述べた。
トランプ氏はSNS上で、アメリカがグリーンランドの「取引」を試みてきた歴史は「150年以上前」にさかのぼるとも主張した。1860年代にアンドリュー・ジョンソン政権が北極圏での影響力拡大を最初に構想したとしている。
トランプ氏はまた、北極圏の島であるグリーンランドには希土類(レアアース)などが大量に埋蔵されているとの推計があるとして、アメリカにとって有望な投資になり得るとこれまでも示唆してきた。
グリーンランドは、1700年代初頭の植民地化の時代からデンマークの統治下にあったが、1970年代に議会が創設され、1979年の自治法により自治が認められ、島の自治権は拡大した。さらに、2009年に完全な自治が認められた。
グリーンランドの当局は1月9日、ニールセン首相や複数政党の党首らとともに声明を発表し、グリーンランドの主権を改めて確認するとともに、自治を妨げるいかなる主張も退けた。
声明は「私たちはアメリカ人になりたいのでも、デンマーク人になりたいのでもない。グリーンランド人でありたい」とし、「グリーンランドの将来はグリーンランドの人々が決めなければならない……。いかなる国も介入できない」と強調した。
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