米議会報告 中共とマドゥロ政権の秘密取引を明らかに

2026/01/21 更新: 2026/01/21

アメリカ議会の諮問機関である米中経済安全保障調査委員会は報告書を公表し、過去数十年にわたり、ベネズエラのニコラス・マドゥロ政権と中国共産党(中共)当局との間で、金融、石油、国防、社会統制の各分野において緊密な関係が構築されてきたと指摘した。

同委員会は1月13日、「中国―ベネズエラ概況」と題する報告書を発表。ベネズエラは中共にとって中南米で最も重要な協力国の一つであり、過去20年間にわたり、中共との間で深い経済的結び付きを形成してきたとしている。また、同国は中国製軍事装備の中南米最大の購入国でもあるとした。

台湾国防安全研究院の研究員、沈明室氏は、「議会向けのこの報告書は、中国とベネズエラの間で、これまで表に出てこなかった協力関係の実態を明らかにしている。当然、世論に影響を及ぼすことになる」と指摘した。その上で、「アメリカの行政府は以前からこうした事実を把握しており、すでに一定の対応を取ってきたはずだ。今後は動きがさらに加速するだろう」と述べた。

報告書によると、ウゴ・チャベス前大統領の政権下で民主制度は弱体化し、経済後退を招く政策が進められる一方、中共との関係は拡大した。2013年にチャベス氏が死去し、マドゥロ氏が政権を掌握すると、統治はより権威主義的となり、経済の悪化も続いた。報告書は、中共当局による包括的な支援が、マドゥロ政権の存続を下支えしてきたと分析している。両国は2023年、関係を「全天候型戦略的パートナーシップ」と位置付けた。

貿易面では、中国はアメリカに次ぐベネズエラ第2の貿易相手国となっている。中国はアメリカの制裁下にある中でもベネズエラ産原油を大量に購入してきたが、その多くはブラジルやマレーシアなど第三国経由として記録されているという。

投資面では、中国資本がエネルギー、通信、港湾、灌漑、送電網といった重要インフラで大きな存在感を示している。ファーウェイ技術やZTEなどの中国企業は、通信インフラや監視技術を提供。投票行動の分析やSNSアカウントの監視が可能とする「祖国カード」制度や、中国のインターネット検閲システム、グレート・ファイアウォールを応用した商用技術も導入された。

債務面では、2015年までに中共は国有銀行を通じ、石油を担保とした融資として少なくとも600億ドルをベネズエラに供与した。他の中南米諸国を大きく上回る規模で、現在も少なくとも100億ドルの債務が残っているという。

軍事分野では、ベネズエラは中南米最大の中国製兵器購入国とされる。中共は中国に2か所の衛星関連施設を建設し、有事における通信支援を可能としてきたが、報告書は、最近のマドゥロ氏逮捕作戦で、これらの施設が有効に機能した形跡はないとしている。

沈氏は「アメリカが中委協力の実態をより明確に把握することで、ベネズエラ現政権への圧力や政策の見直しが進む可能性がある」と指摘。その上で、「新政権下で中国の影響力拡大を抑える動きが強まるだろう」との見方を示した。

マドゥロ政権の崩壊により、中共が過去20年間に行ってきた投資や債権を巡っては、不透明感が強まっており、今後さらなる調査の対象となるだろう。

台湾国防安全研究院の助手研究員、鍾志東氏は、「マドゥロ政権崩壊後、新政権が発足する中で、現在はトランプ氏が厳しく状況を注視している。こうした環境下では、中国は数百億ドル規模の未回収債権や不良債権を抱える」と指摘。また、「中国は、これまでのように安価なベネズエラ産原油や関連する天然資源を確保することも難しくなるだろう」と述べた。

さらに、「アメリカ議会では現在、与野党を問わず中共に対する警戒感が強まっており、関連する立法は、中国資本や金融機関に対する調査に加え、実際の規制が今後さらに厳しくなるだろう」との認識を示した。

鍾氏はさらに、「ベネズエラに限らず、グローバルサウスや東南アジアの一部の国々でも、権威主義体制や経済問題に直面した際、中共が支援に乗り出すケースが見られる」と指摘。「これは欧米、西側諸国に対抗するグローバル戦略だが、中国自身にとっても大きなリスクを伴う」と述べ、「例えば、現在中共がイランで行っている投資についても、資金を回収できないと推定する」と語った。

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