米 マドゥロ逮捕前に政権ナンバー2と接触

2026/01/19 更新: 2026/01/19

1月3日、トランプ米大統領が米軍に電撃作戦を命じ、国境を越えてベネズエラのマドゥロ大統領夫妻を逮捕したとして、国際社会に衝撃が広がった。ロイター通信が17日、トランプ政権は作戦実施の数か月前から、同国で「ナンバー2」とも目される強硬派のカベジョ内相と秘密裏に接触しており、マドゥロ氏拘束後も連絡を続けていると伝えた。

カベジョ氏は、マドゥロ政権で大統領に次ぐ実力者とされる。故チャベス前大統領の側近で、情報機関や警察、軍などに影響力を持つほか、親政府系民兵組織「コレクティーボス」も掌握しているとされる。

ロイターが複数の関係者の話として、トランプ政権は昨年1月の発足初期から、直接または仲介者を通じてカベジョ氏との接触を開始したと報じた。協議は約1年にわたって続き、米軍作戦の数週間前まで連絡を保っていたという。

アメリカ側が接触を続けた主な目的は、マドゥロ氏失脚後の混乱を抑え、情勢の安定を確保することだとしている。関係者によれば、アメリカ当局者はカベジョ氏に対し、治安機関や過激な武装勢力を使って国内の反対派を弾圧しないこと、移行政権の運営を妨げないことを明確に警告した。

トランプ政権にとっては、ロドリゲス暫定大統領が円滑に権力を引き継ぐことが最優先だという。カベジョ氏が武力で抵抗すれば、ベネズエラは深刻な内戦状態に陥りかねず、アメリカが目指す石油生産の早期回復や政治的安定の確保と相反するとみている。

アメリカ側とカベジョ氏の協議では、制裁解除や訴追の取り下げも議題となり、決定的な局面での不介入や協力を引き出す材料にしたとされる。

マドゥロ氏逮捕後も、カベジョ氏が影響力を持つ治安体制は概ね機能を維持しており、アメリカ側の圧力や何らかの取り決めが一定の効果を上げ始めた可能性がある。カベジョ氏は現在、ロドリゲス氏を支持すると公に表明しているが、両者はこれまで同盟関係にあったわけではないという。

アメリカ元ベネズエラ問題特使エイブラムス氏は、カベジョ氏の存在は同国の民主化移行にとって依然として大きな不確定要素だと指摘した。ベネズエラ国内では、カベジョ氏のような「旧い勢力」が完全に排除されてこそ、政権交代が真に完了すると見る人も多いという。

今回の軍事作戦と政治的な駆け引きの組み合わせについて、精密な軍事奇襲で首脳を無力化すると同時に、内部派閥の対立や利益誘導を通じて抵抗を抑え、短期間で情勢を掌握しようとする「極限戦略」を示すものだとされている。

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