臓器提供を正義行為に 中国の新制度に疑問噴出

2026/01/26 更新: 2026/01/26

中国・甘粛省定西市と広東省汕尾市で、人体の臓器提供を「見義勇為(正義感に基づく勇敢な行為)」として認定する制度が相次いで導入され、国内で議論が広がっている。

この制度をめぐっては、中国のインターネット上で「人はまだ亡くなっていないのに臓器提供が行われるのではないか」といった疑問や批判が相次いでいる。

「甘粛日報」によると、定西市では1月11日、市の人力資源・社会保障当局や総工会、赤十字会、見義勇為協会などが連名で、造血幹細胞や臓器の提供者を対象とした奨励・保障制度に関する通知を発表した。

通知では、造血幹細胞の提供者に対して「見義勇為(造血幹細胞提供)」の称号を授与するほか、遺体臓器や組織の提供者についても「見義勇為」として認定し、家族が関連する優遇措置を受けられると定めている。

一方、「汕尾日報」は1月14日、汕尾市が無償での造血幹細胞や臓器の提供を救命行為として「見義勇為」の認定対象に加えたと報じた。これは、広東省内の地級市では初の取り組みだという。

さらに「澎湃新聞」によると、2025年には山東省浜州市や河南省漯河市など、他の地域でも同様の制度を導入する動きが広がっている。

こうした一連の動きに対し、中国国内のネット上では強い反発も見られる。

「正気とは思えない」「勧めないし、関わらない」「誰がこんな発想をしたのか」といった書き込みのほか、「不適切な行為で、報道や奨励に値しない」「特に出所不明の臓器移植には反対だ」といった意見も投稿されている。

臓器移植の「啓発活動」が学校に広がることへの懸念

こうした制度拡大と並行して、中国では近年、臓器移植や提供に関する啓発活動が学校現場にまで及んでいることに、保護者や市民から不安の声が上がっている。

2020年に当局が「臓器提供の啓発を学校で行う」との方針を示して以降、各地の学校で関連する宣伝活動が行われてきた。

ネット上で拡散された動画では、ある地域の小学生が集団で、「韓美林芸術基金会および中国臓器移植発展基金会のボランティアチームに参加する」と宣誓する様子が映されており、視聴者に強い衝撃を与えている。

また最近では、小学3年生向け理科試験の問題用紙とされる画像が流出し、冒頭の設問の多くが臓器移植に関する内容だったことが注目を集めた。さらに、一部地域では健康診断を名目に、すべての児童から採血が行われているとの情報も出ている。

こうした中、子供や若年層の不可解な失踪事件が相次いで報じられ、保護者の間で不安が高まっている。最近では、ネット上で「登校をやめて命を守ろう」と呼びかける動きも見られ、子供を学校に通わせないとする声も広がっている。

1月22日、江蘇省のある保護者は新唐人テレビに対し、「子供が突然行方不明になり、臓器を摘出されるのではないかと不安で、昨年から学校に行かせていない」と語った。

臓器移植数と提供数の大きな乖離

こうした懸念を裏付ける材料として、中国国内でも臓器移植数と提供数の大きな差に注目が集まっている。

1月19日、中国のSNS「知乎」では、あるネットユーザーが2015年から2023年までの公式資料を基に、臓器移植手術数と、死亡後の臓器提供数をまとめた。

それによると、いずれの年も臓器移植の件数は、臓器提供数のおよそ3倍に達している。

例えば2015年は、臓器移植手術が1万57件だったのに対し、提供数は2766件。2018年には、国務院関連フォーラムで移植件数が2万件を超えたとされる一方、提供数は6320件にとどまった。2023年については、「環球時報」が移植数を約2万1千件、提供数を6454件と報じている。

これらの数字は、国務院関連資料や業界報告、中国発展簡報、中国共産党(中共)官製メディア「チャイナ・デイリー」や「環球時報」など、公式に公表された情報に基づいているという。統計が公開されると、ネット上では「移植数がこれほど多いのに、臓器はどこから来ているのか」と疑問の声が相次いだ。

中国では2006年、法輪功学習者から組織的に臓器を摘出し、不正に取引していたとの疑惑が国際的に指摘された経緯がある。近年は、青少年の失踪や学校内での不可解な死亡事例も報じられており、こうした問題が一般市民にまで及んでいるのではないかとの懸念が広がっている。

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