令和8年2月26日、総理大臣官邸において第1回「社会保障国民会議」が開催された。本会議は、高市早苗内閣総理大臣をはじめとする政府代表者と、自由民主党、日本維新の会、チームみらいなどの政党の政策責任者らが一堂に会し、社会保障と税の一体改革について協議する場である。

本会議が設立された背景には、日本が直面する本格的な人口減少と少子高齢化の進行に加え、近年の物価上昇という新たな社会経済局面がある。特に、税や社会保険料の負担増、そして物価高に苦しむ中所得者・低所得者の負担緩和が急務となっている。 こうした状況下で、全世代を通じて納得感が得られる給付と負担のあり方を見直し、社会保障を再構築するための国民的な議論が必要とされていた。参加する政府および各政党は「消費税が社会保障の貴重な財源である」との認識を共有しており、国民の受益と負担に深く関わる「給付付き税額控除」や「食料品の消費税率ゼロ」について、国民に見える形で丁寧かつスピード感をもって検討を進める趣旨で本会議が立ち上げられた。

会議における主な議論と方針
議論の「本丸」と位置付けられているのは、給付付き税額控除の制度設計を含めた社会保障と税の一体改革である。しかし、新たな制度の導入には一定の準備期間を要するため、その間の「つなぎ」の対策が提起された。具体的には、現在軽減税率が適用されている飲食料品について、特例公債に頼らず2年間限定で消費税率をゼロとすることに関して、スケジュールや財源のあり方を検討していく方針が示された。 また、今後の物価動向や急な感染症の蔓延といった不測の事態に備え、テクノロジー(スマレジなど)を活用して柔軟に消費税率等を変更できるシステムの構築を急ぐべきだという、技術面からの提案もなされた。 今後の体制としては、政府と政党間で意見集約を行う「親会議」の下に、機動的な議論を行う「実務者会議」と、専門的な見地から精査を行う「有識者会議」が設置され、互いに連携を図りながら議論を深めていくこととなる。
今後の予測・展望
今後の議論は、「給付付き税額控除」と「食料品の消費税率ゼロ」について同時並行で進められる。政府は、令和8年夏前を目途に中間とりまとめを行う計画である。この段階で税に関する結論が得られれば、「骨太の方針」に反映させたうえで制度を閣議決定し、可能な限り早期に必要な法案を国会へ提出することが予測される。

高市総理は、長年放置されてきた給付と負担の課題に対して「思い切ってやりましょう」と強い意欲を示している。今後は、実務者や有識者の叡智を集めるだけでなく、第1回会議に参加しなかった政党への呼びかけも継続される予定であり、与野党の垣根を越えた制度設計の協議が本格化していくと見込まれる。同時に、給付付き税額控除の議論過程で明らかになるであろう社会保障制度全体の課題についても、引き続き調整と協議が継続される見通しである。
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