中国共産党(中共)第14期全国人民代表大会常務委員会第21回会議が26日、北京で閉幕した。会議は全国人民代表大会代表19人の資格剥奪を発表し、そのうち9人は軍の将官だった。これに先立ち公式に「調査中」と通告された中央軍事委員会副主席の張又俠は、今回の罷免名簿に含まれなかった。
今回罷免された軍側代表は海軍、空軍、陸軍および情報支援部隊に及び、政治委員系統と作戦系統の双方を含んでいる。軍内の複数の系統で同時に代表資格が取り消された。中共軍事系統に近い田紅剣氏(仮名)は大紀元に対し、今回の全人代罷免名簿自体が明確なシグナルを持つと明かした。田紅剣氏は「複数の上将が代表資格を取り消され、範囲は広く、政治工作系統と作戦系統の双方に及んでいる。これは単独案件の処理ではない。真の難点は張又俠と劉振立の扱いにある」と述べた。
中央軍事委員会副主席の張又俠は公式に調査を受けていると通告されたが、全人代代表資格の罷免は発表されていない。外部は、全人代常務委員会が最近の二度の会議でも張又俠を罷免手続きに含めなかった点に注目している。
張又俠案件の処理が停滞 中共に最上位権力中枢で明確な分歧
田紅剣氏は、最高意思決定層内部に明確な意見対立があり、全人代手続きが重要な関門となっており、両会(全人代・政協会議)前に一致した意見形成は困難だと述べた。田紅剣氏は「現在、中共の最上位権力中枢での幹部間の緊張は大きく、張又俠案件は厄介な問題となっている。末端軍官の反発感情が上層へ逆流し、軍令の伝達は円滑とはいえず、軍内部の巡回公演などの通常活動はほぼ停止している。今回代表資格を取り消された将官は張又俠以前に内部で合意済みの案件だ」と説明した。
ここ1か月で、中共全人代常務委員会は二度の会議で複数の党政幹部代表の資格を剥奪した。一方で張又俠と劉振立の案件は一貫して罷免手続きに入っていない。
政府の軍政構造に詳しい体制内関係者の劉贛(仮名)は大紀元に対し、当局の張又俠および劉振立案件の処理で意見対立が生じているのは異例だと述べ「1月24日に張又俠と劉振立の失脚が発表され、『中央の決定』だと位置付けられた以上、慣例では全人代に付託し代表資格を同時に撤回する。だが現在は政治局常務委員レベルで足並みが揃っておらず、全人代常務委員会も従来のペースで手続きを進めていない。張又俠が罷免名簿に入らないことは、内部で統一した処理案が形成されていないことを示す」と述べた。
中共政府メディアの報道と公開資料によると、張又俠は長年軍で要職を歴任し、現職は中央軍事委員会副主席である。劉振立は現職の中央軍事委員会委員兼連合参謀部参謀長である。両者はいずれも現役の高級将領で、軍内序列は軍委主席の習近平に次ぐ位置にある。
処理のテンポが異例 意思決定層に亀裂
中共全人代法制工作委員会の元研究員、蔡明氏(仮名)は、軍側代表資格の罷免は手続き的措置であり、通常は中央紀律検査委員会や軍紀律検査委員会、監察系統と連動して進めると述べた。蔡明氏は「中共体制では全人代は主に手続き執行を担う。紀律検査部門が立件し規律違反、違法を認定すれば、代表資格処理は通常同時に開始する。これが中共体制の運作特性だ」と説明した。
蔡明氏はまた、複数の上将が罷免されたことは粛清が軍の核心層に及んだことを示す一方で、張又俠と劉振立が名簿に含まれないことは党内で複数勢力がなお激しく対立していることを示すと指摘した。
体制内関係者の劉贛は、今回の軍上層の粛清はおおむね四段階に分けられ、約2年に及ぶと分析した。劉贛は「第一段階は2023年のロケット軍の動揺で、多数の上層が相次ぎ失脚し、装備体系とミサイル系統に及び、戦略兵種の統制権と信任構造が焦点だった。第二段階は2024年の装備と情報系統の調整で、情報支援部隊が設立され、既存体系が再編された。第三段階は2025年に整粛が戦区と政治委員系統に拡大し、海軍、空軍、陸軍および政治工作系統に及んだ。第四段階は軍委レベルの駆け引きで、現在も停滞していない」と述べた。
劉贛は、軍内部秩序は衝撃を受けており、作戦体系の完全な回復には少なくとも5年から7年を要すると述べた。劉贛は「高度集権的指揮体制の下で政治忠誠が専門能力より優先され、頻繁な上層の粛清で指揮体系が再編を繰り返し、末端軍官は上層決定を様子見する心理が広がっている。これは単なる反腐敗ではなく、体制自体が軍の専門能力を消耗している」と述べた。
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