2月25日、夜の高速道路。EV車は順調に走っていた。
運転手は、まぶしい室内灯を消そうと、何気なく声をかける。
「室内灯を消して」
次の瞬間、前の景色が消えた。
車内だけではない。
道路を照らしていたヘッドライトまで、すべて消えていた。
暗闇。
白線も、ガードレールも見えない。
運転手はあわてて「ライトをつけて」と叫ぶ。
しかし車はすぐに反応しない。
わずかな時間とはいえ、夜の高速で視界ゼロ。
そのまま車は中央のガードレールに衝突した。
公開された映像によると、本来は車内の「室内灯」を消す指示だったが、音声システムがこれを「すべての灯りを消す」と誤って処理した可能性があるという。
最近の電気自動車は、ナビやエアコン、ライトまで声で操作できる機能を売りにしている。ハンドルから手を離さずに済むため「安全で便利」としてきた。
しかし今回の事故を受け、単なる聞き間違いだけでなく、走行中でも音声ひとつで前照灯を消せる仕様そのものに問題があったのではないかとの指摘が広がっている。
事故車は、中国大手メーカー吉利が手がけるブランド、領克(リンク・アンド・コー)のZ20だ。
事故後、同社は謝罪し、ソフトを更新。走行中は音声でヘッドライトを消せないよう仕様を変更したと発表した。
対応は取られた。だが、消えてはならない光が消えた事実は変わらない。
夜道で前が見えない。
その怖さを想像すれば、問題の重さは明らかだ。
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