電気自動車(EV)で、値下げ競争が止まらなくなっている。各社が価格を下げて販売を伸ばしているが、その結果、「売れても利益が出ない」という状態に陥っている。
この状況について、香港のトップクラス大学の一つである香港中文大学(深圳)公共政策学院の院長でもある鄭永年教授は、中国メディア「上観新聞」の取材に対し、「内輪で値下げし合う今の競争は、集団自殺のようなものだ。勝者はいない」と警鐘を鳴らした。
実際、多くのメーカーが赤字に苦しんでいる。中には、ここ数年で数千億円規模の損失を出した企業もある。売れているのにもうからない、という異常な状態だ。
背景には、地方政府の動きがある。各地でEV産業を育てようと企業を呼び込み、資金を出した結果、一時は300社以上が参入した。しかし、需要以上に企業が増えすぎ、競争が激しくなった。
その結果、価格を下げるしかなくなり、今では工場が止まり、そのまま放置されるケースも出ている。
値下げの流れを加速させたのが、BYDなど大手メーカーの動きだ。BYDが大幅な値下げに踏み切ったことで、業界全体の価格の基準が一気に下がった。さらにシャオミがEV市場に参入したことで競争が一段と激しくなり、他のメーカーも対抗するため、次々と値下げに踏み切った。
短期間で何十万円も値下げされる車が続出し、2024年だけで100車種以上が価格を下げた。
ただ、このやり方は長く続かない。同じような流れは過去にもあった。中国のバイクメーカーは東南アジア市場で、値下げでシェアを広げようと競争を続けた。しかし、値下げが行き過ぎて利益が出なくなり、コストを削る中で品質が落ち、信頼を失っていった。その間に、価格は高くても品質の安定した日本メーカーに市場を奪われ、多くの中国メーカーは撤退に追い込まれた。同じことが、いまのEV市場でも起きつつある。
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