ホルムズ海峡通航難でエネルギー市場動揺 172隻のタンカーが米国へ

2026/04/14 更新: 2026/04/14

中東情勢の緊張が高まり、世界のエネルギー輸送に大きな変化が起きている。ホルムズ海峡の通航が不安定となり、アメリカがイランに海上封鎖を実施したことを受け、多数のタンカーが航路を変更しアメリカ湾(メキシコ湾)へ向かっている。トランプ大統領は、アメリカは高品質のエネルギーを有しており、各国の購入を待っていると強調した。専門家は、こうした動きが世界のエネルギー供給体制を再編しつつあり、中東石油への依存度が高い国々に大きな影響を及ぼすとみている。

海外メディアは、イギリスの海事分析会社ウインドワードの報告書を引用し、すでに172隻のタンカーがメキシコ湾へ進路を変更していると伝えた。ヨーロッパ北部を経てアメリカへ向かうタンカーは46%増加し、アジアおよびペルシャ湾発の航路は132%増となっている。ホルムズ海峡の通航不安を受け、業界関係者が中東のリスクを避け、供給が比較的安定したアメリカ市場へ移っているとの見方が出ている。

トランプ氏はSNSで、空荷のタンカーがアメリカに向かい、原油と天然ガスを積み込む準備を進めていると述べた。さらにアメリカ産原油を「最も甘い油」と表現し、高い精製価値を強調したうえで、「われわれはあなた方を待っている」と呼びかけた。国際市場への直接的なアピールと受け止められている。

一方、協議が決裂した後、米軍はイランの港を発着する海上輸送の封鎖を発表した。これに対しイランは、バブ・エル・マンデブ海峡を封鎖することを示唆している。この航路は世界の石油輸送のおよそ12%を担っており、通航が妨げられれば供給圧力はさらに強まる。

専門家によると、ホルムズ海峡は世界の石油・天然ガス輸送のおよそ20%を担ってきたが、現在は約3200隻の船舶がペルシャ湾内に滞留し、そのうち800隻以上がタンカーだという。紅海航路にも影響が及べば、世界のエネルギー輸送は二重の制約に直面するおそれがある。

アジアへの影響については、主要航路の混乱がエネルギー供給と経済運営に直接打撃を与えるとの見方が出ている。アメリカのジャーナリスト、方偉氏は、中国は1日に約1700万バレルの石油を消費し、そのうち約1200万バレルを輸入に頼っていると述べた。その半分にあたる約600万バレルがホルムズ海峡を通るため、航路が遮断されれば中国経済への打撃は大きく、他地域からより高値で調達せざるを得なくなるとしている。

また、台湾国防安全研究院の鐘志東・若手研究員は、イラン港の封鎖は中国やインドのイラン産原油への依存にも影響し、中国共産党への圧力や警告にもなるとの見方を示した。

エネルギー市場の観測筋は、現在のタンカーの航路変更は短期的なリスク回避にすぎないとしつつ、情勢が長引けばサプライチェーンの再編は避けられない。アメリカの経済学者、李恒青氏も、トランプ政権はこうした構えによってイラン政権に圧力を強めており、世界の構図にも深い変化が起きつつあると指摘した。

ホルムズ海峡を発端とする今回のエネルギーの混乱は、航路の変更から市場の転換へと急速に広がっており、今後の世界のエネルギー地図を塗り替える可能性がある。

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