米委員会でAirbnbとCursorの中国AI採用を調査

2026/05/01 更新: 2026/05/01

米下院国土安全保障委員会と対中共特別委員会は29日、大手民泊プラットフォームのAirbnbおよびAIコーディングプラットフォーム「Cursor」の開発会社Anysphereに対し、合同調査を開始したと発表した。両社が中国のAIモデルを採用していることが、米国の国家安全保障・データプライバシー・ソフトウェアサプライチェーンの安全性に重大な脅威をもたらす可能性があるとして、議員らが懸念を示した。

両委員会の委員長であるジョン・ムーレナー下院議員(共和党、ミシガン州)とアンドリュー・ガバリーノ下院議員(共和党、ニューヨーク州)は連名で両社の最高経営責任者(CEO)に書簡を送付し、モデル選定の経緯、安全評価の内容、および中国モデル供給業者との通信記録の提出を求めた。

書簡はまた、これらの意思決定に関与した担当社員に対し、対面によるブリーフィングへの出席も要請している。

「速くて安い」の代償

Airbnbは昨年、カスタマーサービス向けエージェントツールを導入した際、アリババの「通義千問(Qwen)」言語モデルを採用した。議員らは書簡の中でAirbnbのブライアン・チェスキーCEOの公開発言を引用し、同社がQwenを選んだ理由は「速くて安い(fast and cheap)」からだったと指摘した。

両委員長はこれに強い懸念を示し、書簡の中で次のように警告した。「これらのモデルを採用する米国企業は、単により安価なツールを選んでいるのではない。中国(中共)政府に奉仕するために設計されたアーキテクチャを取り込んでいるのだ」

書簡は、対中共特別委員会が2025年4月に公表した調査報告書「DeepSeek Unmasked(DeepSeekの正体を暴く)」を引用し、中共当局の法律に基づき、中国のAIモデルは「社会主義的核心価値」に準拠し「中共のプロパガンダと整合する」ことが義務付けられているとしたうえで、政治的に敏感な語句を処理する際、モデルの技術的安全性と信頼性が著しく低下すると指摘した。

「中国(PRC)由来のAIへの受動的な依存は、中立的なビジネス上の決定ではない。それは国家安全保障上の選択であり、その影響は個々の企業の損益をはるかに超える」と書簡は述べた。

Cursorがモデルの出所を隠蔽、サプライチェーンの安全性に懸念

開発者の間で広く普及しているコーディングツールCursorは、新モデル「Composer 2」をめぐり審査の対象となっている。

このモデルは高性能かつ低コストとして打ち出されていたが、その後、独立した開発者によって、コアアーキテクチャが実際には中国企業「月之暗面(Moonshot AI)」が開発した「Kimi」モデルであることが明らかにされた。

両委員長は書簡の中で、Cursorの企業顧客は5万社を超え、フォーチュン500企業の半数以上が含まれると指摘した。AIコーディングツールは稼働中、他のソフトウェアが通常扱わないような機密情報にアクセスし得るとし、その例としてセキュリティアーキテクチャ、開発中のソースコード、認証・アクセス制御ロジック、脆弱性修正コード、営業秘密などを挙げた。

「中国(PRC)が開発したオープンウェイトAIモデルは世界規模で急速に普及している」と書簡は記した。2024年末時点で中国モデルが世界のAIワークロード全体に占める割合は約1%だったが、2025年末には約30%にまで拡大したとされる。

議員らはさらに、中国モデルは政治的に敏感なテーマにおいて中共の立場と一致した検閲を行っており、連邦政府のテストでは、主要な中国モデルが中共公認の言説を繰り返す割合が、同種の米国システムをはるかに上回ることが判明したと述べた。

「問題の核心は市場競争だけではない。米国の経済・政府・防衛産業が使用するソフトウェアシステムが、中国(中共)の戦略的目標に基づいて形成された中国系研究機関のモデルへの依存を深めつつあることだ」と両委員長は警告した。

AIモデルをめぐる競争は、米中ハイテク戦争の重要な戦場となっている。ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)が4月に公表した覚書によると、中国の研究機関は「敵対的蒸留(adversarial distillation)」を大規模に実施している。これは、詐欺的なアカウントを通じて米国の先端モデルの技術的能力を大量に抽出し、低価格のオープンソースモデルとして再配布する手法を指す。

29日、両議員は書簡の中でOSTPの覚書を引用し、「(こうした中国モデルは)米国産業のイノベーションを組織的に抽出・複製したものであり、そこに独自の創造性はない」と改めて強調した。

委員会はAirbnbとAnysphereに対し、中国モデルに対して実施したすべての独立したセキュリティ評価報告書およびデータ転送経路の詳細を含む関連文書を5月13日までに提出するよう要求した。また、両社は5月20日までに担当者を議会に派遣し、対面によるブリーフィングを行わなければならない。

AirbnbとAnysphereはいずれも、本調査に対してただちには回答しなかった。

陳霆
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