ホルムズ海峡の主航路に約80個の機雷が残存し実質閉鎖。約600隻が足止めされ、世界の石油・物流に影響が拡大。専門家は年内の正常化は困難との見方を示している。
アメリカとイランが覚書(MoU)に署名したあと、6月19日にはすでに複数の船舶がペルシャ湾を離れ始めている。一方で、海運業界の専門家は、ホルムズ海峡の中央の主航路には依然として数十個の機雷が除去されないまま残っており、短期間で通常の商業航行が回復する見通しは立っていないと指摘している。
ホルムズ海峡の主航路、機雷約80個で閉鎖状態
イギリスのガーディアン紙は6月19日、国際独立タンカー船主協会(Intertanko)の海事ディレクター、フィル・ベルチャー氏が、ホルムズ海峡中央部の主要航路が現在、実質的に閉鎖状態にあると明らかにしたと伝えた。
ベルチャー氏は、「ホルムズ海峡中央の主要航路は危険なため閉鎖されている。最新の情報では海峡内には依然として大量の機雷があり、その数はおよそ80個に上る。完全な除去には時間がかかる」と述べた。
アメリカとイランの軍事衝突の期間中、イランが国際的に認められた航路内に機雷を敷設したと報じられており、これがタンカーや商業船の通行に大きな影響を与えているとみられる。
約600隻が滞留 代替ルートも高リスク
ベルチャー氏は、現在の状況について、高速道路の中央車線が閉鎖され、車両が路肩を走らざるを得ない状況に例えている。
また、オマーン沿岸に沿った南側の迂回ルートは岩礁に近く、座礁や衝突のリスクが高まると指摘している。
さらに、軍事衝突の期間中に発生した電子妨害の影響が現在も残り、船舶の航行システムに混乱をもたらしているという。
現在もおよそ600隻の船舶がペルシャ湾内で足止めされており、航路の回復を待っている。地域の緊張が緩和した場合でも、滞留している船舶の解消には時間がかかる見通しである。
これまでホルムズ海峡では、1日におよそ130隻の船舶が通過し、世界の石油輸送の約20%を担っていた。
年内正常化は困難との専門家見解
海事データ会社ロイズ・リストの編集長、リチャード・ミード氏は、今回の状況について業界は「前例のない事態」に直面しているとしたうえで、ホルムズ海峡の海運が年内に正常化する可能性は低いとの見方を示した。
また、海運分析会社ゼネタのチーフアナリスト、ピーター・サンド氏も、アメリカとイランの覚書について「現実的かつ慎重に見る必要がある」と指摘している。
サンド氏は、停戦が維持された場合でも、世界のコンテナ輸送量の約10%が影響を受けており、主要な航路の運賃も高止まりしているとして、「この規模の混乱が短期間で解消されることはない」と述べた。
通行料問題が新たなリスクに
ガーディアン紙はさらに、覚書に60日間の通行料免除期間が設けられている点にも言及している。この期間終了後、イランが通過する船舶に対して通行料を課す可能性があるとしている。
ドイツの海運会社ハパックロイドの広報担当者は、国際水域で通行料を徴収することについて「適切ではない」としたうえで、スエズ運河やパナマ運河のようなインフラに基づく課金とは性質が異なると指摘している。
海運関係者の間では、ホルムズ海峡でこうした前例ができた場合、マラッカ海峡や台湾海峡など他の重要な海上交通路にも影響が広がる可能性があるとして、世界の貿易構造への影響を懸念する声が出ている。
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