中国 景気悪化と信頼喪失が直撃

中国人の「週末の癒やし」に何が 農村レジャー施設が全国で大量閉店

2026/06/28 更新: 2026/06/28

かつて中国では、週末になると都市部の人々が郊外へ向かう車で道路が渋滞した。

地元料理を味わい、釣りや野菜の収穫を楽しみ、自然の中でゆったり過ごす。

「農家楽」と呼ばれる農村レジャー施設は、日本でいえば農家レストランや体験農園、民宿を合わせたような存在で、激しい競争社会に疲れた都会の人々にとって、週末の癒やしの場だった。

その人気を背景に、2010年代には施設数が10年間で約10倍に急増した。

しかし今、そのブームは終焉を迎えつつある。

公式データでは、2024年末までに全国で8万軒以上が閉業。かつて予約なしでは入れなかった人気店も、いまは「店舗譲渡」の張り紙を掲げるケースが珍しくなくなった。

本紙は公式データや中国メディアの報道に加え、現地の経営者にも直接取材した。

広東省で13年間、農村レジャー施設を経営してきた女性は、本紙の取材に対し「今は動画サイトで宣伝しなければ客が来ない。有名インフルエンサーに頼めば動画1本で1万7千元(約34万円)もかかる」と語り、宣伝費をかけても赤字が続く厳しい実態を明かした。

背景にあるのは、中国経済の悪化による消費の冷え込みだ。

しかし、それだけではない。

「放し飼いの地鶏」「採れたて野菜」と宣伝しながら、実際には市場で仕入れた食材を提供する店もあった。こうした実態が消費者にも広く知られるようになり、「本物の田舎体験」への期待は薄れ、「偽田園経済(偽物の田舎ビジネス)」と皮肉られるようになった。

一方で、都会の暮らしに疲れ、大企業を辞めて故郷へ戻り、新たに農家楽を始めようとする人もいる。

本紙の取材に応じた30代の男性は、「都会では毎日が苦しかった。失敗しても、自分で造った庭なら自宅として使える」と語った。

かつて農家楽は、競争社会から離れ、本物の自然と人の温かさに触れられる場所として人々を魅了した。

しかし景気悪化で人々の財布のひもは固くなり、高い料金を払ってまで「偽物の田舎体験」を買おうとする客はいなくなった。

農家楽の衰退は、一つのレジャー施設が消えていく話ではない。経済が悪化した時代、人々が最後まで求めるのは「安心」と「信頼」だということを、皮肉にも示している。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
関連特集: 中国