中国で新たな「公私合営」の号砲か? 官製メディアが「三大改造」を異例の称賛

2026/06/25 更新: 2026/06/25

中国共産党(中共)の官製メディアがここ数日、毛沢東時代の「三大改造」を相次いで称賛し、「制度の勝利」として描き出している。しかし専門家は、かつて民間資本をのみ込んだこの政治運動に再び注目していることは、新たな「公私合営(国家と民間資本家が共同で企業を経営する)」の号砲を鳴らしたことを示しており、民営企業家に対する強権的な締め付けが迫っていると警告している。

6月19日、新華社は署名記事を掲載し、「三大改造」を「前例のない深い社会変革」だったと称賛した。20日と21日には、同じく党系メディアの人民日報も相次いで記事を掲載し、社会主義工業化の成果を強調する形で「三大改造」に呼応した。

「三大改造」とは、1953~56年にかけて、当局が農業、手工業、商工業に対して行った社会主義改造を指す。実際には、国家の名の下に民間資本を奪い、私有経済をほぼ消滅させた運動だった。

政治評論家の陳破空氏は、「三大改造」の背後にあったのは多くの犠牲を伴う強圧的な収奪であり、それを現在、党メディアが大々的に称賛していることは、民営企業家に大きな災難が迫っていることを意味すると指摘する。

陳氏は次のように述べた。

「三大改造とは、農業の改造、手工業の改造、都市の商工業の改造である。農村では土地改革と呼ばれ、土地はいったん農民に分配したように見せかけたが、その後、国有化した。手工業は協同組合型の組織に統合した。都市では公私合営を進めた。農村の土地改革と、その後のいわゆる人民公社化は、大規模な殺害を伴った。都市の公私合営では、多くの人が飛び降り自殺に追い込まれた」

公私合営の下地をつくるため、中共は1951年から「三反五反運動」を展開した。当時、政府は「脱税・漏税の摘発」などを口実に、資本家に税金の追納を強制した。清朝末期にまでさかのぼるような形で納税を求められたため、全財産を失っても支払いきれず、死を選ぶ人も少なくなかった。上海だけでも、自殺した人や精神を病んだ人は1万人を超えた。

飛び降り自殺が相次いだため、当時の上海市長だった陳毅は、飛び降り自殺者を指して「今日はまた何人の『空挺兵』が出たのか」と、皮肉交じりに尋ねていたという。

分析によれば、官製メディアが今なお「公私合営」を高らかに持ち上げているのは、中共が経済の低迷と政権不安に直面するなか、民営資産の収奪に向けて世論の反応を探るシグナルを発しているためだという。

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授は、次のように述べた。

「不動産市場とインフラ建設全体が崩壊し、経済が後退し、失業が増えるなかで、彼らがこうした動きを見せるのは、現在の中共の既得権益集団が財源を確保しようとしているからであり、その手段をすでに選ばなくなっている」

謝氏は、現在の状況は70年前とは大きく異なると強調する。当時の資本家は本当の意味での民間企業主だったが、今日の中国で最大の「資本家」は中共そのものだという。

「中共の高官二世、三世といった既得権益集団は、党委員会書記から会社の総経理へと姿を変えた。彼らと関係の深い企業や国有企業の多くは、実質的に彼らの支配下にある。もし本当に資本主義に対する社会主義的改造を行うというなら、彼ら自身を打倒し、彼らの財産を取り上げて庶民に分配すべきだ。しかし、現在の中共はそんなことはしない。自分自身に革命を起こすことはないからだ」

謝氏は、これまでインターネット業界や金融業界が締め付けの対象となり、アント・グループへの統制が強まった流れに続き、今回、当局が再び「三大改造」を想起させる動きを見せていると分析する。次の「公私合営」の重点対象は、中国経済を支えてきた中小の民営企業になる可能性が高いという。

謝氏はまた、「現在の公私合営とは、企業を党の指導下に置くことだ。ただし、その財産権や所有権、株式まではまだ奪い取っていない。次の段階は、所有権を公然と奪うことになる。これこそが、現在『三大改造』を再び持ち出している背景であり、民営企業家に深刻な不安を与えている。中国の民営企業家は完全に絶望し、自分たちの財産が再び奪われるのを目の前で見ることになる」と指摘した。

政治評論家の陳破空氏は、官製メディアによる「三大改造」の称賛は、毛沢東時代、さらには文化大革命時代への「全面的な回帰」だと警告する。記事の中では改革開放には一言も触れられておらず、中国の発展があたかも「三大改造」によってもたらされたかのように描かれているが、実態とはかけ離れているという。

陳氏は「最も深刻なのは、現在、民営企業家、民間企業、民間資本に対し、極めて不穏なメッセージが発せられていることだ。いつでも国有化され、党や習近平政権に取り込まれる」との見方を示した。

さらに、近年、教育・研修業界、インターネット企業、ハイテク系民営企業が相次いで締め付けを受け、外資は撤退し、若者の間では競争から距離を置く「寝そべり」現象が広がり、中国は閉鎖的な方向へ進み、国庫も空虚になっていると指摘する。

そのうえで、習近平が台湾を掌握しようとするなら、民営企業の資金を戦争経費に充て、戦争体制を動かす必要があると分析した。

陳氏は、この一連の宣伝工作について、戦争準備をにらんだ危険な世論誘導だと警鐘を鳴らしている。

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