トランプ氏 電力網の外国製設備を規制 中国製部品に警戒か

2026/08/27 更新: 2026/08/27

8月26日、トランプ米大統領は国家安全保障を理由に、一部の外国製インバーターやその他の重要な電力設備について、アメリカの電力網への導入を制限する緊急大統領令に署名した。

大統領令は主に、大規模電力系統(bulk-power system)で使われる設備や関連ソフトウェアを対象に、調達、輸入、設置を規制する。すべての外国製設備を一律に禁止するものではなく、アメリカが武器禁輸や制裁の対象としている国の政府と関係の深い企業や組織が、設計・開発・製造・供給した製品を重点的に規制する。中国製の電力設備が主な規制対象になると見られている。

近年、米議会では与野党を問わず、アメリカの電力システムに使われる中国製部品が安全保障上の弱点になり得るとの懸念が強まっている。敵対国に悪用される恐れがあるためだ。議員らは特に中国通信機器大手ファーウェイを名指しし、同社の設備がアメリカの重要インフラに安全保障上のリスクをもたらしかねないとしてきた。

アメリカではこれまで、水道施設が相次いでサイバー攻撃を受け、重要インフラの脆弱性が改めて浮き彫りになった。米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ(CISA)も今年4月、イランが支援するハッカーがアメリカの重要インフラを攻撃する恐れがあると警告していた。

外国製設備に遠隔攻撃の懸念

トランプ氏は大統領令で、一部の外国勢力がアメリカの大規模電力系統の弱点を作り出し、それを悪用し続けていると警告した。

大統領令は、「先端製造業、データセンター、AI、防衛生産の急速な発展により、アメリカでは安定した電力供給への依存が一段と高まっている。同時に、電力システムが攻撃を受けたり、供給が途絶えたりした場合の影響も深刻になっている」としている。

米政府が懸念しているのは、遠隔監視や遠隔操作に対応する電力設備が増えていることだ。ソーラー用インバーターやバッテリー管理システム、その他のネット接続機器は遠隔から監視・操作できるため、新たなサイバー攻撃の入り口になり得る。

国際エネルギー機関(IEA)によると、中国は世界のバッテリーとソーラー用インバーターの生産能力の約80%を占める。米商務省が2020年に行った調査では、それまでの10年間に中国製の大容量インバーターが大量にアメリカへ輸入されていた。

エネルギー長官、設置済み設備も規制可能に

大統領令は、すでに設置されている外国製設備も規制できる内容となっている。トランプ氏はクリス・ライト・エネルギー長官に対し、リスクに応じて必要な場合には、既存設備への制限措置を提案または実施する権限を与えた。その際、電力の安定供給や安全性にも配慮するよう求めている。

また、ライト氏に対し、120日以内に大規模電力系統で使われる電気設備の安全保障上のリスクを評価し、安全対策の見直し案をまとめるよう指示した。

今回の措置は地域の配電設備には適用されず、主に大規模な送電・発電設備を対象とする。

インバーターなどは現在、納期が長期化している。新たな輸入・設置規制が導入されれば、納期がさらに延び、電力網の更新費用が上昇することも考えられる。

米エネルギー省は現在、インバーターの安全基準について一般から意見を募っており、国家安全保障とサプライチェーンの問題を重点的に検討している。米連邦通信委員会(FCC)も先月、一部の外国製ドローンやソーラー用インバーターへの規制を強化した。これらのインバーターは太陽光発電事業で使われている。

アメリカが外国製電力設備への依存を減らせば、アメリカ内メーカーには追い風となりそうだ。

林燕
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