世界市場を揺るがし、湾岸地域での戦争拡大が懸念されるイランをめぐる軍事衝突は、発生から6か月を迎えた。アメリカは地上部隊を投入していないものの、大規模な経済制裁と海上封鎖を進めている。一方、ホルムズ海峡の封鎖を交渉材料とするイランの影響力は徐々に弱まりつつある。
米海軍の封鎖と経済制裁が効果
ロイター通信は6日、イラン内部の関係者や情報筋の話として、イランが現在、イスラム共和国成立以来でも最も厳しい経済圧力の一つに直面していると報じた。
アメリカによる海上封鎖と制裁強化により、イランの石油輸出は抑えられ、外貨の確保も難しくなっている。こうした措置により、イラン経済の逼迫ぶりも一段と鮮明になっている。
アメリカや中東地域の政府関係者は、こうした圧力によってイランにホルムズ海峡の自由航行を認めさせたい考えだ。
イランの金融・貿易に打撃
イランの高官筋3人は、アメリカの措置によってイラン政府への圧力が急速に強まっていると認めた。特に最新の制裁により、外貨の確保や商品の輸入、国際金融ネットワークの利用が大幅に制限されているという。
ベッセント米財務長官は、この戦略を「ワンツーパンチ」と表現した。米海軍による封鎖と、過去最も厳しい水準の経済制裁を組み合わせるものだ。
ベッセント氏は、この戦略はイランに対して効果を発揮し、最終的にイラン政権の崩壊につながるとの見方を示した。
エネルギー市場は調整 イランの交渉力弱まる
イラン情勢に詳しいアナリスト、アラシュ・アジジ氏は、情勢がイランに不利な方向へ傾き始めていると指摘した。
イランはホルムズ海峡を完全に封鎖できなかったことで、交渉力を失いつつある。一方、米海軍による封鎖はイランに大きな打撃を与えている。
イランは当初、ホルムズ海峡で混乱を引き起こし、船舶の航行を妨害することで世界経済に打撃を与え、アメリカを交渉の場に引き戻せると見込んでいた。
しかし、戦闘開始から半年がたち、エネルギー市場はすでに状況に適応した。各国もおおむね新たな環境に対応し、代替供給ルートも機能し続けている。
このため、イランが世界経済を混乱させる能力には限界があることが浮き彫りになった。
同時に、石油輸出を締め付けるアメリカの措置によって、イラン政府の歳入も大幅に減少している。
イラン経済の苦境深まる
商品市場分析会社ケプラーによると、イラン産原油の積み出し量は今月、1日当たり約26万バレルまで減少した。1年前の約170万バレルから大幅に落ち込んでいる。
イランのペゼシュキアン大統領は、同国の貿易総額が25~35%減少し、特に輸入が深刻な打撃を受けていると明らかにした。
アラブ首長国連邦は8月19日、イランとのすべての商取引と金融取引を停止した。
イラン通貨リアルも最近、過去最安値を更新した。1年前は1ドル=約100万リアルだったが、現在は1ドル=220万リアルを超える水準まで下落している。
過去12か月の平均インフレ率は69.9%に達し、食品などの価格は約2倍に上昇した。公式の失業率は9.1%に上昇している。
月平均賃金は約125ドルにとどまり、1世帯当たり約450ドルとされる基本的な生活費を大きく下回る。ガソリン備蓄も約2か月分にとどまっている。
耐久力が試されるイラン 交渉の余地も
一方、アメリカの元中東和平交渉担当デニス・ロス氏は、アメリカがイラン経済の苦境を戦略的な成功とみなしているとしても、実際の状況はそれほど単純ではないと警告した。
イラン革命防衛隊は、現在の苦境に耐え、圧力を乗り切れると考えている可能性があるという。
英王立防衛安全保障研究所の上級研究員ブルジュ・オズチェリク氏も、イランが圧力にどこまで耐えられるかは、国民の許容度に大きく左右されると指摘した。
現時点では、戦時の強硬姿勢がなお支配的だという。
地域筋は、焦点はイランが受けている圧力が、新たな衝突に至る前に同国を妥協へ動かす水準に達するかどうかだと指摘している。
ロス氏は、合意に至る最も明確な道筋の一つとして、ホルムズ海峡の通航料をめぐる問題を挙げた。
イランが船舶から通航料を徴収する要求を撤回する一方、正当なサービス料金を徴収する権利を維持すれば、双方が成果を得たと主張できる余地が生まれるという。
ロス氏は、「イラン側がホルムズ海峡の再開を宣言できれば、トランプ大統領はイランとの合意に応じるだろう」と述べた。
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