BYD車に情報流出リスク 欧州議員14人が公共調達からの排除を要求

2026/11/05 更新: 2026/11/05

欧州議会議員14人は11月4日、中国のEV大手BYDの車両が安全保障上の脅威となるか調査し、公共調達からの排除などの措置を検討するよう欧州委員会に求めた。

議員らはEUの執行機関である欧州委員会に書面で質問を提出し、EUのサイバーセキュリティー機関によるリスク評価を実施するとともに、BYDをリスクの高い供給業者に指定することも検討するよう要求した。

今回の要求を主導したフランス選出の欧州議会議員、フランソワ・カルフォン氏は質問書の冒頭で、中国共産党(中共)が2017年に制定した「国家情報法」は、企業に国家の情報活動への協力を義務付けていると指摘した。

カルフォン氏は「したがって、第三国製のコネクテッドカーに欧州の機密性の高い重要インフラへのアクセスを認めることは、容認できない安全保障上のリスクをもたらす」と記した。

嘉手納基地 BYD車の乗り入れを禁止

これに先立つ10月、米軍は沖縄県の嘉手納空軍基地でBYD車の乗り入れを禁止した。米軍は、同社の車両には「容認できない」かつ「対策によっても解消できない」リスクがあると説明したが、懸念の具体的な内容は明らかにしなかった。

トルコのアナドル通信によると、米側が懸念しているのは、コネクテッドカーに搭載されたカメラや各種センサーによる情報収集だ。軍事基地周辺の機密情報を許可なく収集し、ネットワーク経由で外部に送信することで、軍事機密が漏えいする恐れがあるという。

バイデン政権時代、米商務省は中国と関係のあるコネクテッドカーや特定の車載ソフトウェア、通信機器を対象に、米国への輸入や国内販売を制限する規則を定めた。中国製の車載通信モデムも規制対象に含まれる。

この規則は2025年1月に公表され、ソフトウェア規制は2027年モデルから、ハードウェア規制は原則2030年モデルから段階的に適用される。

フランスやEUは主に個人情報保護規則に基づき、車両データの収集や利用、送信を規制している。一方、米国は特定の技術やサプライチェーン上の取引そのものを制限している。企業が消費者の同意を得ても、輸入・販売規制の適用は免れない。

トランプ政権も、バイデン政権が導入した規制を継続している。

この規制では、車両を米国内で製造した場合でも、中国製の通信機器を使用していれば規制対象となる可能性がある。

対象には、特定のソフトウェアやハードウェアのほか、中国やロシアと関係する企業が製造した対象製品も含まれる。米国内で組み立てた車両も例外ではない。

ただし、一定の条件を満たせば、例外的に許可を受けられる制度も設けており、規制対象となる取引でも販売を継続できる場合がある。

BYD、情報流出の懸念を否定

一方、BYDは、クラウドや車内で処理・保存するデータに中国から遠隔でアクセスすることはできず、データの管理権限は常に顧客にあると説明した。

同社はロイター通信への声明で「BYDの欧州法人は、こうしたデータを中国国内のBYD関連企業や第三者に提供していない」と述べた。

カルフォン氏は質問書の中で、ポーランド、英国、イスラエルの対応にも触れたが、具体的な内容は明らかにしなかった。

さらに、ノルウェー軍の兵士が演習中、借りていた中国製車両が兵士の姿や軍事基地への入場コードを撮影していたことに気づいた事例も挙げた。車のメーカー名は明らかにしていない。

欧州議員、BYD車の公共調達からの排除を要求

欧州議会議員らは、欧州委員会が中国製車両の軍民両用インフラへの立ち入りを制限し、BYDを公共調達から除外する方針があるか、回答を求めている。

欧州委員会は9月、公共調達において欧州域内で生産された製品や部品の割合を高めるため、新たな規則を提案した。

ただし、BYDはハンガリーに生産拠点を持ち、欧州でさらに工場を建設する計画もあるため、今後も公共入札に参加できる可能性がある。

欧州委員会は通常、議員からの書面質問に6週間以内に回答する。

カルフォン氏は4日、フランスのルコルニュ首相にも書簡を送り、BYD車をはじめ、中国と関係のある車両を通じたスパイ活動のリスクを防ぐため、対策を講じるよう求めた。

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