【大紀元日本ネット4月25日】(大紀元記者黄毅燕報道)著名な政治経済評論家である草庵居士は、4月3日、大紀元北カリフォルニア支部主催で、サンフランシスコ・ベイエリアのサニーベイルにて行われた第13回“九評共産党”シンポジウムに参加した。現在パンアメリカンキャピタル副会長兼CEOである草庵居士は、シンポジウムにおいて、“中国の金融界はなぜ中国の未来を破壊するブラックホールなのか”と題する講演を行った。
講演において、草庵居士は中共政府の経済指標を用い、中国経済がなぜ、表面的には繁栄し、実際には至る所に危機を内在しているのかについて分析を行った。まず、中国経済は不均衡な発展をしており、70%が外需に依存している:郷・県・省3級の政府の財政赤字はGDPの70%になっており、銀行の不良債権は全国の営業利益(年ベース)の20倍である:さらに、銀行の不良債権の内幕は驚異的であった。
草庵居士はこう述べている:“中国建設銀行の現在の行長である郭樹清の話を引用すると、中国の銀行界にはシステム的なリスクが出現しており、このシステム的リスクについて、少しでも注意を怠れば、中国の金融システム全体は直ちに崩壊するであろう。”
以下は、草庵居士の発言内容である。
中国経済の繁栄は表面的 実際は至る所に危機が内在
1983年から見ますと、GDPの平均成長率は7.6%で、最高で9%に達しています。一方、経済全体を見ますと、あらゆる外資が中国大陸に進出する中で、外資企業と合資企業はGDPの80%を占めています。すなわち、中国のGDPの80%は外資企業と合資企業が創造したものなのです。
同時に、最近の大陸における不動産業の発展が非常にハイペースで、上海、北京、広州、深せんといった大都市や、蘇州といった2級都市も含め、これらの都市の建設ぶりは非常にすばらしい、中国の経済は本当に非常に優れているかのように見受けられます。しかし、これは表象に過ぎません。その内部事情は一体どうなっているのか、それを皆さんに紹介していきたいと思います。
今回の全人大で議論された主要なトピックは3つあります。それは、台湾の“反分裂法”、株式市場、不動産の問題です。私の知るところでは、今回の全人代は、もともと経済の発展に関して決議を行う予定でした。しかし、後に行われなくなりました。皆さんは関心を持たれたでしょう:今回の全人大の終了時に、政府の報告が行われなかった。しかし、以前は行われていた。 なぜでしょうか?それは、経済問題が、国内で非常に大きな争論を惹起しているからです。
中国経済の発展をマクロから見ますと、株式市場の発展について、そのスタート時から現在まで、ピークにおいては2兆5000億元の資産がありました。人民元の預金は、当初1兆2000億元でしたが、その後次第に増加し、現在は10兆元近くになっています。
中国経済の70%は外需市場に依存
しかし、まず中国の企業を見ますと、政府の発表している数字によると、外資企業と合資企業がGDPの80%以上を占めております。同時に、中国経済における利潤の総額のうち、70%が貿易によって得られたものです。これは、歴史上のいかなる時期においても、いかなる国家によっても達成されなかったことですが、中国はこれを達成したのです。
しかし、これは良い現象ではありません。これは、中国経済全体が外部の市場に依存しているということであり、ある問題を反映しています。それは、中国市場が内需ではなく、外需に依存しているということです。この外需市場とは、アメリカと欧州です。こうした状況が発生すると、中国経済全体がアメリカへの依存に傾くことになります。すなわち、アメリカ経済の盛衰が中国経済・市場に与える影響が非常に大きくなるのです。中共政府が自分で支え、決定するということはありません。彼らには決定できなくなるのです。
中国郷・県・省政府の財政赤字はGDPの60~70%を占める
全人大において、中共はいくつかの数字を明らかにしましたが、これらの数字は、中国政府が承認したばかりの数字です。すなわち、郷・村の財政赤字が1兆元を超えました。以前に海外が推計した数字は4,5兆元で、中国政府が国連に伝えてきた数字はたったの6000億元でした。県の財政赤字は6兆元でした。中国に詳しい人は皆知っていることですが、郷・村政府は、政府に多くのお金を借りています。省政府、省・市のレベルになりますと、財政赤字は2万元になると彼らは言いました。
これらの数字を合計すればすぐにわかることですが、1兆元、6兆元、2兆元を足し合わせて9兆元になります。この財政赤字は、中国のGDPの60~70%になります。皆さんが知っておくべきことは、中国のGDPにはコストが含まれており、生産額に等しいということです。しかし、生産額は決して利潤を表しておらず、コストを除去する必要があるということです。
中国銀行界の穴は20年間の純収入の合計
同時に、中国政府が発表している国債発行額の累計は1.7兆元です。これを加えると、中国の財政赤字は10.7兆元に達します。だから、海外の経済学者や中国国内の経済学者-中国であえて話をするのは北京師範大学経済センター主任の鍾威(発音)ですが-は、中国の財政赤字は既にGDPの140%に達していると指摘するのです。これらの数字は、実は中国政府が発表したものですが、発表時に数字がばらばらであるために、皆さんがあまり注意していないだけなのです。比較をしないために、その危険性がはっきりわからないのです。
中国人民銀行の官僚である周小川はこう述べています:中国の銀行界の危機について、もし銀行界と政府が全くお金を出さず、営業利益でこの穴を補填するならば、20年分の利益がなければこの債務の穴を埋めることができない。これは、中国の経済が非常に危険であることを示しています。
なぜ、中国金融界におけるいくつかのブラックホールが経済の崩壊を引き起こすのでしょうか?しかし、金融界や銀行界の帳簿上の穴を見つけるのは非常に困難ですが、一方で、企業界の穴を見つけるのは容易です。これから皆さんに具体的な事件をお話しましょう。
皆さんご存知のように、2002年末と2003年の初め、朱鎔基は、中国政府の1.4兆元もの銀行不良債権を4大資産管理会社に移管しました。現任の財政部長は、全人代において次のように話しました:この1.4兆の銀行不良債権は、やはり我々が負担する必要がある。現在、我々の財政にはそんなに沢山のお金が無いので分割して支払う必要がある。
私の友人に、文祥(音)という者がいます。彼は、ある資産管理会社で、浙江省の責任者でした。彼が浙江で資産管理会社を設立した後、銀行から大量の不良債権を接収しました。こうした不良債権は政策的支出によるもので、政府の指示で移管された不良債権でした。
ある日、文祥はある企業の社長に会いました。その社長に対し、彼はこう尋ねました:あなたはどれだけ債務があって、誰に借りているのですか?
社長:我々の債務は非常にたくさんあります。どこからの債務について聞いているのですか?
文祥:私はこの会社に異動してきました。あなたの会社は我々に対して5億元の債務を負っています。
社長:我々はいつあなたがたに借金をしたというのですか?
文祥:これは農業銀行から移管されてきた債務です。
社長:我々は農業銀行から借金をしたことはありません。
文祥:それはありえません。私は全ての文書に目を通しています。戻ってまた見てみることにしましょう。
戻った後、彼は部下を呼んで文書を持ってこさせました。一見すると、確かに5億元
余りの債務がありました。彼はすぐに社長に電話しました。
社長:私たちは合資企業です。お金を借りる時は、中国銀行を探さなくてはいけません。農業銀行ではありません。
この一言を受けて、文祥は調査をしました。その結果、この会社はあるビルを担保に供していました。それは“博財大廈”(音)というビルでした。
社長:我々はビルを保有していません。保有していても、中国銀行に担保に出しています。
文祥は、これを聞いてビルが登記されている住所へ行って調査をしました。現地を見て、彼は卒倒しそうになりました。なぜでしょうか?この住所には一片の田んぼしかなく、農民がそこで作物を栽培していたのです。この住所には全くビルが無く、道路にもビルはありませんでした。
したがって、彼はいらだってこう言いました:あなたがここまでの粉飾をして、私が接収した資産は偽物だった。あらかじめ知っていたというなら、私のパートナーとあなたがたが一緒になって騙したのでしょうか?5億元ものお金を!
このため、彼は農業銀行を探しました。農業銀行は、“我々にあらゆる文書を保持している”と言いました。
全ての文書の引渡しを受けた後、彼はこれを一つ一つ調べました。その結果、この合資会社は偽物で、省政府が香港に派遣し、後に国内との合資にしたものでした。印鑑も偽物でした。他の合資会社の印鑑は全て英文でしたが、この会社のそれは中文で、五角星もついていました。
文祥はこの債権の接収を拒みましたが、省政府はそれ認めず、こう言いました:接収したのだから、再び戻すことはできません。あなたがたが騙されたのだから、それはあなたがたの話です。
文祥は、その結果を一目見て、それではいけないということになりました。5億もの金額なのに一銭も回収できず、その上汚職の罪を着せられるのです。このため、彼は法院に訴訟を起こしましたが、訴えを退けられました。法院によると、これは政策的支出によって形成された不良債権であり、地方法院には審理する術がない。誰もが当時あなたが不注意であったと言うでしょう。文祥は上告しました。結果は、この資産管理会社は国務院に属しますが、組織の権限は強くなく、司級なので省長を管理するとはできないということでした。彼らは、最高法院に行って訴訟をするほかありませんでした。なぜなら、文祥は、訴訟をすることによって、この事件が自分とは関係が無いことを明らかにできると考えたからです。結果、最高法院は、この事件は国務院が調整すべきものであるとして、訴えは再び退けられました。
では、この不良債権はどうなったのでしょうか?私は以前彼に聞いてみましたが、彼は、ずっと焦げ付いたままでどうしようもないと言っていました。
これは銀行の不良債権ですが、これにいくつかの公印が押され、転々流通して政府の財政に廻ってくるのです。だから、この銀行界の穴を目にすることができないのです。しかし、一旦、民衆がこの穴を政策的に負担しあうということになれば、銀行界は皆粉飾をするのです。それに気づかなければどうしようもありません。彼らに言わせれば、銀行長が何人も変わっているので、誰がやったのかわからない。担当者は既に異動しており、誰がやったのかわからない。いずれにしても不良債権であり、皆さんが引き受けてください、ということになるのです。
だから、中国にはこうしたことが非常に多いのです。
(つづく)
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