【大紀元日本4月6日】中国国家監査署はこのほど、34の一級道路項目建設管理および投資効果・利益状況に対する監査結果を発表し、各種違法行為による損失・投資増加、土地収用補償金の流用等合計約80億元(約1216億円)であったことを明らかにした。監査署が提出したこれらの問題はすでに数年前からも存在しており、一向に解決しなかった問題の根源は、中国には政府関係職員に対する問責制度がないからだと、評論家は分析している。
中国国家監査署は3月26日に2007年第2号監査結果公告を発表した。公告によると、2000年に一部の重点道路建築項目の監査状況に比べ、今回の結果は道路建設管理は規範に沿っており、特に近年の道路建設項目の中における不法資金調達、工事費の滞納などの問題は抑制でき、建設資金の流用などの問題が顕著に減少したという。しかし、建設管理、土地収用および投資効果と利益などの面においての項目は相変わら目立った問題が存在しているという。
公報によると、34項目の内、26項目が関連する交通主管部門および建設部門で流用するまたは、相互関係を利用して交易により、流用した建設資金が21・58億元(約328億円)で、湖北省、湖南省など14省が農民へ与えるべき土地収用の補償金を16・39億元(約249億円)も流用したという。また、監査ミスや盲目的に工事期限を早めるなどの原因による損失浪費と増加投資が32・47億元(約493・5億円)に上ったと言う。
*交通庁長は十数人失脚
米在住の独立評論家・何清漣氏は取材に対して、中国の道路建設においてこれまでに資金流用の問題が存在しているとし、「ここ数年間、中国省級以上の交通庁の指導者ら十数人が失脚したのは、道路建設における大きい問題を起こしたからだ。これは汚職腐敗分子が狙う、食いつきたいおいしい肉であるからだ」と指摘した。
ここ数年間、農民は農地が収用されて合理的な補償を支給してもらえなかったことが、中国各地で発生した集団抗議活動の重要な原因の1つである。中国国家監査署の公告はこの問題に対して、湖北、湖南、四川、雲南など14の省(区)で合計21の建設項目における農民への補償金51・7億元(約785億8400万円)の内、16・39億元(約249億1280万円)は地元政府および土地収用・立ち退き部門に流用され、長期滞納または差引かれたと指摘した。
*砂浜に流された水は目的地へ到達しない
前出の何清漣氏は「李源朝・前江西省委書記は、強制的に立ち退きされた住民が焼身自殺事件後、都市における立ち退き補償金および土地収用補償金は共に、砂浜に水を流すように目的地までには行き届かないのだと発言した。要するに、補償金は民衆の手元に届くまで途中で幾度も削られて差引かれることから、残り僅かな金額しか民衆には届かないことを指すのだ」と説明した。
*違法者は責任追及されないのか
監査署の公告によると、道路建設に問題が存在する主な原因とは、①建設管理体制は整っていないため、改革が遅れていること②責任追及体制はしっかりしていないこと③一部の政府は地元の現状条件を無視し、建設項目の採択にばかり走ること等を指摘した。これに対して、何清漣氏は中央部門、交通部門、国有企業は財物面における問題が、毎年監査報告の重点にされており、長期にわたり問題解決されていない根本的な原因とは職員関係者の問責制度がないからだと指摘した。
何氏は「監査は毎年指摘するが、違法した腐敗分子は相変わらない。監査問題が調査されなければ、監査の意味もないことから、職員関係者の問責制度に欠けているのだ。具体的な規定を定め、違法部門はどう調査し対処するかが問題である」と強調した。
新華社の報道によると、監査署が提出した問題について、交通部および関係地方政府、建設項目担当者に対して改善し、法律に則り、責任追及することを提案したという。
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