【大紀元日本8月28日】中国当局の政府メディアは8月25日、「中国都市部では、男女比率のバランスが大きく崩れている。男女数の不均衡から生じる社会不安定要素を取り除くために、中国当局は、人工流産による出生児の性別選択を禁止する関連法律の制定に着手している。」と報じた。
新華社によると、国務院は法案の起草に着手し、人工流産で赤ちゃんの性別を選択する親と医者を罰則する具体的な条例を制定し始めているという。
中国では性別を選択するための人工流産が流行っている。男の子を生みたい親は、妊娠中の胎児は女の子である判明すると、人工流産するケースはよくあるという。
中国では、人工流産による選別選択を禁止する条例はあるが、罰則に関する明確な規定がない。
新華社は、「南部の江蘇省連雲港市で2005年末までに誕生した4歳児の男女比率は、163・5対100」と報じている。
中国当局の政府機構「人口計画生育委員会」が所轄する「中国計画生育協会」の報告書によると、その他各地区の男女比率も同様に大きな開きがある。99都市の男女比率は125対100を超えている。問題が最も深刻な省は、(南部の)海南省と広東省、(中部の)河南省と安徽省。例えば、海南省の男女比率は136対100。
2005年、中国全土の男女平均比率は119対100である。国連の基準は107対100。
アナリストは、男尊女卑の伝統観念や、政府の厳しい「一人っ子政策」、人工流産が簡単にできることなどは、中国の男女比率の不均衡を招いた主要原因と指摘している。
また、男性の数が女性を大きく超えることは、未来の社会に対し不安定要素になると憂慮する声が上がっている。
米国電子雑誌「観察」の責任編集者・陳奎徳氏は、「専門家の試算によれば、近い将来、中国では約3千万人の男性が結婚相手を見つけられない。このような状況に置かれる男性は、若くて元気溢れるも、教育レベルもそれほど高くないかもしれない。しかも、精力旺盛で性的欲求が満たされず、家庭を作れない。歴史を検証してみると、これらは社会の動乱を招く要因に成りかねない」と分析される。早急に男女比率の不均衡問題を解決しないと、深刻な社会人口構造問題が生じると警告した。
同氏は、「都市部において、キャリアウーマンの女性は、青年、中年を問わず、釣り合う結婚相手を見つけられないケースがよくある。一方、農村部の中でも、貧しい一部の男性には結婚相手がない。いわば、キャリアウーマンと農村部の男性には、結婚相手がいない。また、このような男女が結ばれる可能性は、ほぼゼロに近い。結果、生じる社会問題は非常に大きい」と指摘した。
さらに、都市部の人口萎縮、知識人層の減少は、社会全体の科学技術、教育、経済に影響する。
米国VOAの報道によると、中国家庭計画協会は最近、「中国の人口問題は、その他の問題にも直面している…。2030年までに、人口が15億に達する。毎年の出生人口のうち、生まれつき障害を持つ人は4~6%を占め、家庭と社会に重い負担が圧し掛かると予想される。また、地域性の疾患と伝染病は国民の健康を脅かすと予測される。例えばエイズは、感染の高危険性グループに分類され、一般人に拡散する勢いを表している」と公表した。
同協会によると、2005年末までに、2400万人の農村部の住民は、衣食住が満たされない生活を送っている。4000万人以上の低収入の農民は、最低水準の生活を送っている。2001年から2005年の間、計2200万人の都市部の住民は、政府の救済で生活を維持している。また、4000万人以上の農民は土地の不動産開発により、農地を失った。その数は、年間300万人の速度で増加し続けている。
2012年までに、中国の労働者人口、16歳から59歳の男性と16歳から54歳の女性の合計数は9億を超え、就職問題は一大挑戦になると報じられた。
「現在、中国の60歳以上の人口は総人口の11%を占めているが、2020年には16%に上昇する見込み。即ち2億3千万のお年寄りがおり、社会保障基金や、福利厚生、公共サービスなどの分野は強い圧力を逃れない。一方、2005年末までに、中国では1億5千万人の流動労働力がおり、これからも増加し続ける見通しである。そのため、国家資源と、公共施設、人員管理などは厳しい情勢に直面している」と米国VOAは伝えた。
前述の中国家庭計画協会は、中国国内の淡水、農地、森林、炭鉱などの重要自然資源一人当たりの保有量は、世界平均に下回っていると警鐘を鳴らした。
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