【大紀元日本5月19日】ここ数日間、私は皆と同様に四川大地震および人民の生命財産の損失に強く関心を寄せている。もっとも死者数の多い綿陽県では、私の大学時代に共に核物理学を専攻した友人6人が在住している。また、被災状況がもっとも深刻な北川県では、私の新しい友人の親族がいて、幸いに友人ら全員の安全が確認でき、友人の4人の親族の内3人は避難できた。
5月17日、私はある活動で、何人かの物理学部の教授と世間話をして、四川大地震の話題になった。私は瓦礫に埋もれている子供たちのことを話したときに、米国人の核物理教授は、「我々の(米国の)メディアはパンダに関心を寄せているだけだ」と語った。私は綿陽県が中国共産党(中共)の軍事工業都市として、重要な核研究(二機部)および宇宙航空企業(七機部)があると話したときに、米国人教授は、何故メディアはこれに関連することをまったく報道しないのかと驚いた。
この事実は無視してはならないのだ。特に地元の人々が2つの巨大な脅威に直面する可能性があるからだ。
1つは、洪水災害をもたらす可能性のある500近くあるダムだ。1975年に河南省駐馬店等地区で発生した、1万平方キロメートルにわたり、合計60以上のダムが相次いで決壊したため、約1千万人が被災し、2万6千人以上が死亡した世界最大かつ最悪のダム決壊惨劇は、未だに鮮明に記憶に残っている。
もう1つは、未公開にされているのだが、すでに水面下で広がった核漏れの噂だ。事実上、中共当局は国際レスキュー隊の中国被災地入りを拒否したときに、軍隊によって封鎖された一部地区に、生物化学消防服を装着した人たちが出入りしている噂が流れていた。綿陽県の軍事事情は米国中央情報局などの国際諜報機関がキャッチしているはずで、この事実も中共政府が懸念することだ。しかし、何故国際メディアはこれについての報道しないのか?
右から、筆者の黄慈萍さん、陳日君主教、魏京生氏(新世紀より)
中共当局は2ヶ月前にチベット僧侶の抗議を武力弾圧しながら、すべての情報を封鎖し、記者の現場入りを禁止した。そのため国際社会の非難を浴び、五輪トーチリレーは至る所でボイコットされ、中共当局が目論んでいた国際的イメージ作りが大きく崩された。それ故、人々は中共の「変化」を歓迎する心理は理解できる。しかし、今回は、中共当局は二の舞を踏まずに、やり方を変えた。すなわち、「間違った方向へ導く」が「封鎖・隔離」に取って代わっただけなのだ。これは、被災地の人々の声および中央テレビ局の報道を引用する国際メディアが、同地区の軍事工業の実態よりパンダの報道に熱中していることからも分かる。
私はかつて欧米の自由メディアを賞賛し、民主・自由の先駆だと見なしていた。しかし、最近では西洋社会のメディアの浅はかな報道を懸念する。ここ数年来、金銭および財団がメディアに与える影響および制御があまりにも顕著で、西洋社会のメディアは過去の「ソ連」および「新興」した中共に対する態度からも垣間見できる。私からしてみれば、敵意および壊滅的な力を暴露することは、中国の透明性を高め、平和に向けての貢献でもあるのだ。
私は中国大使館が米国務省に対して、被災地の衛星写真を求めることを注意深くみているが、5月17日、米国務省からは、中共当局に四川被災地の衛星写真を提供する回答があった。何故、中共は自慢の諜報衛星写真を使用しないのだろうか。中共は中国人民に対して、この面において米国に劣ることを示しているのだろうか。いや、これを利用して、米国は四川の状況に対してどこまで知っているかを探るためでなければ、中共の本当の目的は何だろう。数日前に胡錦濤総書記が被災地への慰問を利用し、国際社会における自らの苦しい立場を逃れた。またしても、中共は、人民の生命の安全を犠牲にして自らの利益を図ったのである。
わたしは、国際メディアに対して、中国地震に関する報道に関して提案したい。
1.なぜ倒壊したのが大多数の学校の校舎であり、政府関係ビルではないのか。中共の一人っ子政策が、今回の悲劇をさらに深刻にしたのではないか。
2.なぜ一部の学校教員や関係者が逃れたのに、生徒たちは逃れられなかったのか。新疆カラマイ市で1994年12月8日に発生した大火災に似たものがあるのではないか。
3.なぜ軍隊の現地入りは遅かったのか。地震発生してから72時間内のもっとも重要なときに、国際救助を断った本当の原因は何か。
4.震源断層に位置していることは、地元の学生および民衆に対して地震時の対処方法を教育したのか。放射能漏れの可能性がある地区一帯の住民に対して、緊急時の基本的な保護対策の教育を行ったのか。(実際には、行っていない)
5.中共当局は1999年に、国内には1万人以上のパラシュート兵がいると自慢した。しかし、地震発生してから3日が経っても、パラシュート兵は降下しなかった本当の原因はなにか。
6.地震発生する前に、政府が所謂「虚偽の地震情報」として抑えた地震前兆に関連する事実をなぜ隠蔽したのか。
最後に、私はこの文章を発表した理由を説明する。30年前に、私は幸運にも中国科学技術大学に入学することができた。私が物理学を選んだのは、これは当時最も競争の激しい学科で、私が尊敬するキュリー夫人が従事した職業だったからである。しかし、私は原子能研究所(後、「研究院」に変更)で仕事をするようになってから、目の当りに見たのは、中共がパキスタンなどの国家に対する核拡散、無責任な政権が引き起こす可能性のある核脅威だった。そのために、私は自然科学の探求心を人類に対する良心および責任に転化したのである。
(魏京生基金会より)
(翻訳・余靜、編集・藤川)
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