政府は17日、外国企業や投資家による対日投資の審査体制を強化するため、外国為替及び外国貿易法(外為法)の改正案を閣議決定した。改正の柱は、省庁横断で投資審査を担う「対日外国投資委員会」(日本版CFIUS)の創設であり、経済安全保障の観点から投資規制を高度化する狙いがある。
CFIUSは米国の国家安全保障を脅かす取引を阻止する「門番」ともいえる機関で、最近では、中国やロシアによる技術窃取や個人データへの接触が問題視され、2018年のFIRRMA制定により審査権限を大幅に拡大。現在ではハイテク分野を中心に、中国資本の流入を徹底的に制限・排除する役割を強めている。
日本版CFIUSの最大の目的は、安全保障上重要な技術や機微情報の海外流出を防ぐことにある。国際情勢の緊張や経済安全保障の重要性の高まりを背景に、政府は外国投資が国家安全保障に与える影響をより精緻に把握し、リスクの高い案件に対して迅速かつ的確に対応する体制の構築を急ぐ。
今回の制度創設は、経済安全保障政策の中核を担う位置付けとなる。高市早苗首相が掲げてきた政策であり、自民・維新両党の連立合意にも盛り込まれていた。従来は財務省や経済産業省など各省庁が個別に対応していた投資審査を一元化し、国家安全保障局(NSS)や防衛省を含めた横断的な連携を制度的に担保することで、審査の実効性を高める。
また、米国の対米外国投資委員会(CFIUS)をモデルとすることで、主要国並みの投資審査体制を整備し、国際基準との整合性を確保する狙いもある。片山財務相は、今回の改正について「省庁間の連携を義務付け、事前届出事項を充実させることで、目的に沿った制度となる」と述べ、経済安保の強化につながるとの認識を示した。
日本版CFIUSは、財務省と国家安全保障局が共同議長を務め、関係省庁が参加する体制とする。投資案件の審査に際しては、財務相などが必要と認めた場合に、関係機関のトップに意見を求めることを義務付け、判断の精度向上を図る。
審査対象も拡大する。外国企業が日本企業に直接出資するケースに加え、日本企業に出資する外国企業をさらに別の外国企業が買収する「間接投資」も新たに対象とする。一定割合以上の株式取得については事前届出を義務付け、実質的な支配の移転を監視する。
さらに、外国投資家に対しては、機微情報へのアクセス制限や技術流出防止などを約束する「リスク軽減措置」の事前届出を義務化する。違反リスクの高い投資については、事前段階で抑止を図る。
加えて、従来は対象外であった非指定業種についても、安全保障上の懸念が生じた場合には報告徴求を可能とする仕組みを新設する。過去に外為法違反歴のある事業者や外国政府系企業などについては、必要に応じて株式処分の勧告や命令を行う権限も盛り込む。
政府は、健全な対日投資を確保しつつ、安全保障上のリスクを的確に管理する体制の構築を目指し、改正案を特別国会に提出する方針である。日本版CFIUSの創設は、経済と安全保障を一体で捉える新たな政策枠組みの中核となる見通しである。
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