【大紀元日本7月27日】7月24日、中国東北部の吉林省通化市東部で、鉄鋼大手・通化鉄鋼集団の労働者約3万人が鉄鋼業界再編による経営悪化に不満、大規模な抗議デモを行った。デモ中に労働者と警察の間で衝突が発生し、数百人の負傷者が出た。衝突の際、通化鉄鋼集団の買収に成功した民営企業建竜鉄鋼の陳国軍社長が殴り殺された。
デモに参加した労働者によると、抗議参加者があまりに多かったため、警察は武力で弾圧しなかった。その代わり、買収を中止させると通達した。抗議者らが花火で勝利を祝い、同日夜10時、生産ラインが再開された。
取材に応じた工場の職員によると、北京に本社を持つ建竜鉄鋼は、昨年資本参加などの形で通化鉄鋼の経営権を獲得した。しかし、鋼材市場価格の下落によって経営赤字に陥り、その後建竜鉄鋼が通化鉄鋼の経営権を放棄した。今年になって鋼材市場価格が跳ね上がり、建竜鉄鋼は再び通化鉄鋼の経営権を狙い始めた。
今回の抗議デモは、建竜鉄鋼が通化鉄鋼を買収後、元の工場労働者をリストラし、その代わり付近の農村部の農民を雇用すると決定したことが引き金となったが、そのほか、建竜鉄鋼の陳国軍社長の高額収入も要因の1つとみられる。
通化鉄鋼会社では、今年3月にも労働者が収入減に抗議するデモが行われた。(ネット写真、2009.3.2)
デモ参加者によると、「昨年の陳国軍社長の収入は300万人民元(約5500万円)なのに対し、定年労働者に支払われる月給はわずか200人民元(約3000円)だ」という。
そこで、怒った工場労働者らが抗議デモを行い、陳国軍社長を殴り殺した。
中央政府は膨大な鉄鋼工業の縮小を計画的に図っている。買収や合弁などの手段を使って、世界で競争力を持つ鉄鋼企業を作り上げようとする。しかし、このような買収及び合弁は大規模なリストラを伴っており、経営者との格差と労働者のわずかな退職金が労働者の抗議を招いた要因だとみられている。
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