中国、ロシア軍用機の模倣から輸出へ 変わる世界のパワーバランス

2010/12/13 更新: 2010/12/13

【大紀元日本12月13日】中国の軍需産業は、ロシアから輸入した兵器弾薬の模倣数十年を経て、Su-27戦闘機などのロシアの先進兵器を模倣し、中国産の J11B型戦闘機を輸出するようになった。 空母一隻をほぼ製造できるレベルにも達しており、世界のパワーバランスの転換が伺える。

これまでの航空ショーでは、スターは常にロシアだった。戦闘機、ヘリ、輸送機が圧倒的な人気を集め、毎年、数十億米ドルの注文を獲得していた。しかし今年、広東省で行われた珠海航空ショーでは、大型機が1機も売れず、「お株」は全て中国に持っていかれてしまった。また、今回の航空ショーに参加したパキスタン空軍のアクロチーム「Sherdils」の操縦する戦闘機は、かつてロシア製であったが、現在はパキスタンと中国が共同で製造している。

ウォールストリートジャーナルによると01年から08年の間、中国は160億米ドルのロシア兵器弾薬を輸入していた。ロシアが輸出する兵器の40%を占めていた。しかし、2010年には、この構図が大きく転換したようだ。

ロシアの戦闘機が中国産の戦闘機に変身

旧ソ連が解体した1年後、資金不足となったクレムリンは、Su-27型戦闘機24機を10億米ドルで中国に売却。旧ソ連圏外で同機が売却されるのは、初めてのことだった。

その後15年、ロシアは中国にとって最大の兵器弾薬の供給商となり、合計200億から300億米ドルの戦闘機、駆逐艦、潜水艇、戦車、ミサイルを輸出してきた。

1996年、中国は、25億ドルでSu-27型の組み立てライセンスを購入。同年、北京は沈陽飛機公司にSu-27型の模倣品であるJ-11型200機を製造させている。

ロシア国防省職員によると、 中国はロシアから輸入した航空電子装備、レーダー、エンジン、組み立て製品の輸出はできないという露中間での 契約が交わされていた。しかし、2004年、中国は105機 を組み立て後、一方的にこの契約を取り消し、同型戦闘機には関連条件を適用しないと宣言した。

この3年後、ロシアの懸念通り、中国は国営テレビを通してJ-11B型戦闘機を発表。ライセンス供与により生産されたSu-27型にそっくりだった。これについてロシアの中国軍事専門家であるヴァッシリー・カシン(Vassily Kashin)氏は、ライセンスを供与した時、 誰もが予測した必ず降りかかるリスクだったが、ロシアにとって 存亡の瀬戸際での決断だった、と述べている。

先月、ロシアは国外に対し軍備売却の契約書に知的所有権の条項を追加する新たな法案を提議した。その際、J-11B型戦闘機は中国海軍の先鋒戦闘機となっており東シナ海と南シナ海で全行程の作戦を展開することができることが指摘された。

中国への技術提供を、出し渋るロシア

現在、ロ中間でのSu-33型戦闘機購入についての交渉が行き詰った状態にある。北京はロシアに対し見本として2機の購入を希望したが、模倣されることを懸念したロシアはこの提案を拒絶している。だが、中国共産党は2011年或いは2012年に自国での空母発展を望んでいるため同戦闘機の購入は必要不可欠としている。

ロシア側は、中国がすでに輸出用先進戦闘機の大量生産を開始しておりロシアの協力を必要としなくなっていることを認識している。中国は、2001年にウクライナからSu-33の原型となる戦闘機を購入しており、すでに模倣品の製造は開始されているのではないかとロシア政府の職員は懸念する。

ロシアのMiG-29を市場で抑える中国製JF-17

昨年中国が模倣したJF-17型戦闘機とロシアのMiG-29型戦闘機がミャンマーに入札されたが、ミャンマーは、価格が予想よりも低かったロシアのMiG-29戦闘機を選んだ。今年両国は、エジプトに入札したが、 ロシアの3000万ドルよりも1000万ドル低い価格を提示した中国が受注を獲得した。MiG-29型を製造するスホイ社は不満を示し、JF-17型のためにロシアのエンジンを中国に売却しないよう、クレムリンに促したが、クレムリンはまだ売却停止には踏み切っていない。

その他にスリランカ、バングラディシュ、ベネズエラ、ナイジェリア、モロッコ、トルコ、スーダンも中国製のJF-17型戦闘機を購入している。

変わるパワーバランス

ここ2年、北京はモスクワに対し兵器の大型注文をしていない。中国の新興国に対する武器輸出はロシアの兵器ビジネスの旗色を変えただけではなく、世界で注目されている地区のパワー・バランスも変えようとしている。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、05年から09年の世界で取引された兵器売買額のうち2%を中国が占めていると報告している。

中国国営の中国航天工業集団(AVIC)はすでに戦闘機の製造やゼネラルエレクトリック社など米国企業の協力下において新型旅客機の製造を学んでいる。

この現状とは裏腹に、米国では昨年ペンタゴンが世界最先端のF22戦闘機の予算を削減した。理由のひとつとしてこの分野における中国の技術が米国よりも15年遅れていることが挙げられている。しかし中国空軍副指令は同類の新型戦闘機がすでにテスト飛行状態にあり、8年から10年のうちに配置できる予定と伝えている。米国防情報局も、中国がこのステルス戦闘機をおよそ10年で大量配置すると見解している。

また、今年2月、パキスタンで中国製戦闘機の飛行中隊が設立されており、インドとパキスタン間の軍事バランスに変化が生じている。

米国が最も懸念する中国兵器の輸出先はイランである。同国は02年から09年の期間に中国から2.6億ドルの武器を購入している。今年6月、中国共産党は国連のイランに対する制裁を支持した。この制裁にはイランに対する武器の禁輸延長が含まれているが、テヘランは依然として中国の戦闘機などの武器購入を継続している。

(編集・坂本)