【大紀元日本1月14日】旧正月を前に、中国では出稼ぎ労働者の帰省ラッシュが始まっている。しかし、故郷に帰りたくても帰れない人がいる。南部杭州市の鉄道切符売り場では、地面にしゃがんで順番待ちしている湖南省出身の1人の出稼ぎ労働者の姿があった。パソコンを触ったこともない彼はインターネットでの切符購入はもちろん無理。電話で購入しようとしてもずっとパンク状態でつながらない。残された手段は一つ、売り場で買うしかない!「昨年はまだ運がよかった。一日並んで買えた。今年の切符購入はとにかく難しい。もうすでに6昼夜も並んだのに買えていない」とつぶやく。
中国紙「瀟湘晨報」の取材報道によれば、彼の名は李竹清。48歳。湖南省永州地区の出身。運搬業に携わっている。李さん一家と弟は浙江省富陽市に出稼ぎに来ており、李さんの妻、弟、息子2人、嫁1人と従兄弟1人の合計7人の帰省切符を購入しなければならない。重荷が彼の肩に圧しかかる。
10日午前、6昼夜待った末、一枚も買えなかった李さんは「もう疲れ果てた。これ以上は無理」とついに諦めた。黒い冬の帽子、皺だらけの綿入りの上着、グリーンの運動靴、ボサボサのヒゲ、虚ろな目、李さんは見るからに憔悴しきっている様相だった。
李さんの話によると、妻は工場で鋼管製造の仕事をしている。2人の月収はそれぞれ1000元余(約12000円)。故郷では仕事になかなか就けないため、出稼ぎを決心した。13年間、彼らは江蘇省や、広東省などの各地を転々とした。富陽地区にきたのは昨年。「ここの給料は少しいい」と李さんは言う。
午後の5、6時から、李さんは順番並びを始めた。初日に切符が買えなくても、彼は諦めなかった。「今日は駄目でも、明日はまだ来る。絶対に買えるはずだ」。しかし、毎点xun_齡ヤ先頭に並んでも切符を買えなかった。桂林、南寧、長沙、株洲、衡陽……南部への鉄道の切符はまったくない。70以上の窓口なのに、切符がない!
朝9時、売り場の扉が開けたその瞬間、李さんは猛ダッシュで先頭一番を陣取った。それから1時間あまり待つと、窓口の切符販売が始まった。販売員の口から「切符がない」という言葉が飛び出す瞬間、李さんは萎えてしまった。しかし、しばらくして、彼は再び窓口に戻った、が、販売員の答えは依然「切符がない」だった。
10日、故郷の82歳の母親から電話が入った。「いつ帰るのか」。毎日徹夜で並んでも切符を買えないと伝えると、息子が可哀相に思ったのか、電話の向こうで母親は泣いた。
母親には肺の病気があり、息が苦しくて、よく意識を失うという。この前は倒れて、一週間も食事がのどを通らなかった。11日早朝6時40分、母親がまた電話してきた。「私はもう長くない。来年まで持つかどうかも分からない。絶対に家族全員を連れて帰ってきて」と言うのだ。だれよりも焦っている李さんだが、電話の向こうから母の言葉が聞こえてきた。「私のことは心配しなくていい。焦るんじゃないよ」
母と息子は泣き崩れていた。
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