中国 帰省しない旧正月 知らない人と囲む食卓

中国 若者に広がる「相席年越し」 不景気が変えた旧正月の風景

2026/03/01 更新: 2026/03/01

中国の若者の間で、これまでとは違う年越しの風景が広がっている。

帰省しない人たちがSNSで呼びかけ合い、実際に店やアパートに集まって、旧正月の大みそかの食事を囲む。費用は割り勘。「給料はいくら?」「結婚はまだ?」といった話題もない。ただ一緒に食べて、話すだけだ。

外食するグループもあれば、参加者の部屋に集まり、1人1品ずつ持ち寄る人たちもいる。背景にあるのは厳しい景気だ。帰省の交通費は重い。それでも、ひとりきりの正月はつらい。節約しながら孤独も避けたい。そんな現実的な思いが、この動きを生んでいる。

もっとも、動機はそれだけではない。「もしかしたら、いい出会いがあるかも」。そんな期待を胸に参加する若者もいる。知らない者同士の食卓は、節約の場であると同時に、小さな出会いの場にもなっている。

一方で、帰省の形そのものも変わり始めた。若者が故郷に戻るのではなく、親が都市へ向かう「逆帰省」が急増している。地方から北京や上海などへ向かう航空券の予約は前年比84%増。都市発より最大7割近く安いことも理由の一つだ。

それでも、帰省どころではない人もいる。
旧正月前、中国各地で未払い賃金をめぐる抗議が相次いだ。本来なら、働いた分の給料を受け取り、家族のもとへ帰るはずの時期である。だが今年は「どこに訴えても解決しない」という声が広がる。

家族が集まるはずの旧正月。
いまは、知らない人と囲む食卓、都市へ向かう親、そして帰れない人々という現実がある。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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