【大紀元日本3月16日】中国国営新華社通信は15日、共産党中央委員会の決定として、重慶市トップの薄煕来党委書記を解任し、張徳江副首相(65)を後任に充てると発表した。後任の張氏は薄氏と同じく江沢民派に属していることから、派閥間の駆け引きがあったとの見方が出ている。
今回の解任は薄氏の側近である王立軍副市長の米総領事館駆け込み事件に問責された結果とみられている。人民網によると、王副市長の解任も発表された。
薄氏は秋の党大会で次期最高指導部入りを目指していたが、今回の解任でほぼ絶望的となった。
温家宝首相は14日、全人代の記者会で、「重慶市の現指導者と政府は王立軍事件から教訓を汲み取り、反省すべきだ」と厳しい口調で発言し、初めて公の場で王立軍事件について指導部の態度を示した。
政府最高指導者が公の場で幹部を批判するのは極めて異例なことであり、温首相の重慶市に関する発言は今日の解任発表が念頭にあるものと見られる。
後任に張徳江副総理が充てられた。同氏の政治局常務委員会入りの可能性が浮上してきたとウォールストリートジャーナルが15日付の記事で伝えた。
張副総理は薄氏と同様、江沢民派メンバーと目されている。同じ派閥からの後任人事は派閥間の均衡を保つ意図があると見られている。
温家宝首相は同じ改革派として知られている現・広東省委書記の汪洋の次期指導部入りを期待している。
ウォールストリートジャーナルはポートランド州立大学の中国政治問題に詳しいBruce Gilley氏の話として、「薄氏の解任に指導部の多くが同意したと思われる。クーデターが起きたのではなく、(派閥の)政治取引の犠牲になったのではないか」との見方を伝えた。
温家宝陣営の強い意向で薄氏の解任につながったが、その見返りとして汪洋氏の次期指導部入りも消えたと同氏は分析する。
中国共産党史に詳しい高文謙氏は「後任人事は江沢民派に配慮を配っているように見える。薄氏が失脚しても、ほかの派閥に有利になったとは言えない。双方は微妙なバランス関係を保とうとしている」と述べた。
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