【大紀元日本6月19日】中国人力資源・社会保障部の尹蔚民部長は北京で17日、就職難が今後5年間続く見通しとの見方を示した。社会不安につながりかねないこの事態に政府は対策を迫られている。
同部長によると、今年の大学卒業生は過去最多となる699万人を記録し、今後5年間は平均700万人前後の水準を維持するという。さらに中等職業訓練学校や中学・高校の卒業生、退役兵士も入れると、毎年の求職人口は1600万人に達するなど、若者は厳しい就職難に直面している。
中国発展研究基金会の盧邁事務局長は今月、現在内定を得た大学卒業生は半分にも満たしていないと現状が深刻であることを認めた。
米紙ニューヨークタイムズ(NYT)中国語版は香港大学中国教育研究センターのGerard A. Postiglione主任は「どの国も失業者となる新卒者の増加は厄介な問題になる」と警鐘を鳴らした。
中国政府も事態を重くみている。5月15日、李克強首相は教育を受けた若者の雇用を拡大するよう、政府部門や国有企業に要請した。低技能労働者の失業よりも高学歴の若者の失業を懸念しているからだ。
一方、西南財経大学中国家庭金融調査与研究センターが昨年末に発表した「中国城鎮失業報告」によると、21-25歳では学歴とともに失業率が上昇しており(小学未満4.2%、初中8.1%、高等、専門大学校各11.3%、大学以上16.4%)、若年工場労働者が供給不足の反面、大学新卒の就職難が明らかになった。しかし、過去10年間、中国の高等教育機関は定員を4倍に拡大している。
賃金にも変化があった。過去4年間、出稼ぎ労働者の賃金は70%増と大幅上昇したのに対し、受け皿の少ない大卒者の賃金は据え置きの状態が続いている。
米NYT紙中国語版は経済学者の見方として、中国の経済成長率が7~8%を維持しなければ、大規模な失業が起こると伝えた。尹部長も根本的な解決策が「経済成長」だとの認識を示した。
しかし、8日に発表された5月の貿易統計から、中国経済の鈍化が当面続くと予想されている。5月の輸出が前年同月比1,0%増、輸入が同0、3%減、伸び率は昨年7月以来の低水準、輸入も予想に反して減少しており、中国経済の減速を裏付ける数字となった。
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